公開日:2022.05.22 最終更新日:2023.05.19 離婚

共有財産とは?該当する財産の種類と財産分与するときの注意点

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共有財産とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産のことをいいます。
預貯金や不動産、生命保険の解約返戻金、退職金、年金といった夫婦が協力して形成・維持されたと判断された財産が対象です。

婚姻期間中に形成された財産であれば、たとえ夫婦のどちらか一方の収入だけで形成された場合であっても共有財産に該当します。共有財産を財産分与するときの割合は原則として2分の1ずつです。

財産分与は一度取り決めてしまうと、あとから覆すことが難しくなります。財産分与が終わった後に共有財産の存在を知った…とならないためにも、どのような財産が共有財産に該当するのか把握しておきましょう。

1.共有財産の対象となる財産

財産分与の対象となる共有財産には、下記が該当します。

  • 現金・預貯金
  • 有価証券
  • 不動産
  • 生命保険の解約返戻金
  • 退職金
  • 年金(確定拠出型年金など民間企業を通じて加入するもの)
  • 自動車

現金・預貯金以外の共有財産は、現金化してから財産分与するケースが多いです。配偶者が婚姻期間中に購入したゴルフクラブやカメラ、フィギュアなども共有財産の対象となり、なかには高額なものもあるので、財産分与の際は価値を把握しておきましょう。

なお、結婚前に築いた財産や婚姻期間中に両親から相続された財産は、特有財産となり財産分与の対象外となります

(1)現金・預貯金

婚姻期間中に築いた現金や預貯金は、夫婦の共有財産になります。預貯金の場合、通帳の名義が夫婦のどちらであっても共有財産であることに変わりはありません。

結婚前や離婚後、婚姻期間中に贈与された預貯金については特有財産になるため、財産分与の対象外です。ただし、特有財産であることを証明するには証拠が必要になります。配偶者が現金や預貯金について特有財産であることを主張してきた場合、通帳のコピーなど証明できる証拠の提出を求めましょう

(2)不動産

婚姻期に購入したマンションや一戸建て、不動産は夫婦の共有財産です。

不動産の名義がどちらのものであっても、婚姻期間中に購入したものであれば財産分与の対象となります。

不動産を財産分与する際は、いったん売却をしてから現金化をして分け合う方法があります。しかし、不動産の売却額よりも住宅ローンの残高が多い場合は、売却しても負債が残ってしまいます。そのため、売却後の残債を自己資金で清算する方法や任意売却により少しでも高く売れるようにする方法で財産分与を行います

なお、夫婦のどちらか一方が離婚後もマンションや戸建てに住み続ける場合は、財産分与に該当する金額を配偶者に支払うか、他の財産で清算するなどの対応をする必要があります。

財産分与に伴う不動産の売却については、下記のコラム記事も参考にしてください。
>>離婚でマンションを売却するときの注意点

(3)生命保険の解約返戻金

積立型の生命保険や学資保険などを解約した際に発生する解約返戻金も、夫婦の共有財産に該当します。財産分与する際は、生命保険を解約して解約返戻金を分割する方法もできますが、すぐに解約すると元本割れをする場合には、解約する時期を定めそのときに解約返戻金を受け取ることも可能です。

共有財産の対象となる解約払戻金は、婚姻期間中の解約返戻金だけが対象になります。結婚前に形成された分は特有財産となるため対象外です。

(4)退職金

勤めている会社から支給される退職金は、財産分与の対象となります。給与や賞与と同様に退職金も夫婦が協力して築いた財産となるからです。共有財産の対象となる退職金は、婚姻期間中に形成された分だけとなり、離婚成立時に勤めている場合は支給された後になります。

そのため、離婚後に退職金が支給される場合は、受け取りの条件などを決めておく必要があります。

ただし、退職金は勤めている会社の経営状況によって支給されないケースもあり、確実に受け取れるわけではないので注意しましょう。

(5)年金

財産分与の際に忘れやすいのが年金の分割や分与の手続です。
婚姻期間中に加入した確定拠出型年金などの民間企業を通じて加入した年金は、財産分与として生命保険と同じような取扱いにより分与します。
他方で、厚生年金など公的年金については、婚姻期間中、配偶者の扶養家族に入っていた人について年金分割制度を利用することで配偶者の年金を分割することができます。

ただし、年金分割制度で受け取れるのは、婚姻期間中に配偶者が加入していた厚生年金の分だけです。婚姻期間中、配偶者が国民年金に加入していた場合、年金分割制度は利用できません。

また、年金分割制度には合意分割制度と3号分割制度の2種類があり、婚姻期間によって手続きが異なります。離婚が成立した日から2年が経過すると手続きをすることができなくなります。そのため、忘れずに手続きを行いましょう。

年金分割制度については下記のコラム記事を参考にしてください。
>>離婚するときに行う年金分割について仕組みと申請方法を解説

(6)自動車

婚姻期間中に購入した自動車は、夫婦の共有財産になります。
自動車を財産分与する場合、売却後に残った現金を夫婦で分け合う、または離婚後も所有し続ける場合は、査定額の半分を配偶者に支払います。

両親や祖父母から相続した自動車は特有財産になりますが、維持やメンテンナンスにかかる費用を共有財産から出していた場合には、共有財産となるケースがあります。

2.判断が難しい財産は原則共有財産になる

財産分与の際、共有財産か特有財産の判断がつかない財産については、原則共有財産となります。これは法律でも下記のように定められています。

(夫婦間における財産の帰属)
第七百六十二条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
引用元:民法

特有財産であってもその証明ができなければ、共有財産となり財産分与の対象となってしまいます。そのため、財産分与をする際に特有財産を守るためには、財産を得た状況を説明できる通帳のコピーや契約書などの証拠を用意しておきましょう。

3.子供名義の財産は共有財産となる

子供名義となっている預貯金や生命保険の解約返戻金は、夫婦のどちらの収入を原資として形成されたものであれば、夫婦の共有財産となるため財産分与の対象です。
しかし、夫婦以外の親族からもらったお祝い金やお年玉、または子どもがアルバイトなどで働いたお金が原資とした財産であれば子どもの特有財産となるため、財産分与の対象になりません。

子供名義の財産の財産分与については、下記のコラム記事を参考にしてください。
>>子ども名義の財産は財産分与の対象になるのか?

4.財産分与の前に共有財産を明確にしておく

財産分与を公平に行うには、夫婦がお互いの財産を明らかにする必要があります。しかし、財産分与を逃れようとして財産隠しをすることも珍しくありません。金融機関への情報開示はたとえ夫婦であっても個人情報の関係から応じてもらえる可能性が低いです。

もし、配偶者が財産を隠している疑いがある場合や、財産分与の割合に合意しない場合には弁護士に依頼しましょう。

弁護士は、弁護士法23条の2に基づいた弁護士会照会という制度があるため、裁判所を通さなくとも、依頼された事件を解決するために必要な資料や証拠を収集することができます。

銀行口座や加入している生命保険の内訳、所有している不動産などが本人の同意なしでも確認することができるため、財産隠しを発見することが可能です。

5.共有財産に関するトラブルがあれば弁護士に相談する

財産分与において、財産隠しや分割の割合など共有財産のトラブルは珍しくありません。また、現金や預貯金以外の財産は手続きに手間や時間がかかり、個人では解決が難しいケースがあります。

もし、財産分与についてご自身で解決することが難しい場合は一度弁護士に依頼することも検討しましょう。財産分与を弁護士に依頼することで、共有財産の洗い出しから元配偶者との協議も代わりに行うため、解決までの時間を大幅に短縮できる可能性が高いです。

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