公開日:2022.02.27 離婚

子ども名義の財産は財産分与の対象になるのか?

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夫婦が離婚をするときは、財産分与をして所有する財産を分け合います。
財産分与の対象となる財産は、婚姻期間中に夫婦が築いた共有財産です。夫婦のどちらから一方の収入を原資とした財産であれば原則として共有財産になるため、仮に子ども名義の財産であっても、共有財産として財産分与の対象になるのが基本的な考え方です

ただし、子ども名義の財産はすべてが共有財産に該当するとは限りません。財産分与の対象外になる財産もあるため確認しておきましょう。

1.財産分与の対象外となる子ども名義の財産

夫婦の共有財産となっている子供名義の財産は、財産分与の際、その他の共有財産と一緒に計算されて、離婚をするときに原則2分の1ずつ分けられます。財産分与の対象となる財産は、現金や預金だけでなく不動産や保険、有価証券、ピアノ、貴金属など資産価値のあるものが含まれます。

ただし、子供名義の財産であっても、夫婦の共有財産に該当しない場合は財産分与の対象になりません。財産分与の対象外になる子供名義の財産にはどのようなものがあるのか確認しておきましょう。

(1)夫婦以外の親族からもらったお祝い金やお年玉

子どもが両親以外の親族からもらったお年玉や進学、就職などでもらうお祝い金などは、財産分与の対象外です。夫婦以外の人の収入を原資として形成された財産は、子どもの特有資産となるため、共有財産に該当しないからです。

また、教育資金贈与信託についても同様で、子どもに帰属するため財産分与の対象外になるケースが多いです。

ただし、子供手当といった国からの給付金は、子どもの両親が給付を受けるため財産分与の対象になる可能性が高いため注意が必要です。

■学資保険は財産分与の対象になる可能性が高い

子どものために加入している学資保険は、夫婦の共有財産となるため財産分与の対象になります。学資保険に解約返戻金があれば、財産分与する場合は解約をして解約返戻金を財産分与します。ただし、契約期間によっては元本割れをする場合があります。そのため、夫婦で話し合いをして満期になってから財産分与をする、または保険の名義を変更する代わりにある時点での解約返戻金の半分を相手に渡して財産分与をするといった条件を決めることもできます。

学資保険を財産分与する際の取り決めについては下記のコラムを参考にしてください。
>>離婚するときに必要な学資保険の取り決めについて

(2)婚姻前の収入を原資として形成された財産

子ども名義の財産が、夫婦のどちらか一方の婚姻前から持っていた財産によって形成されていた場合は財産分与の対象外です。婚姻前に形成した財産は「特有財産」と呼ばれ、共有財産とは区別されます。財産分与の対象となるのは婚姻期間中に形成された共有財産だけになるため、特有財産は対象になりません。

結果、特有財産で形成された子ども名義の財産は、共有財産に該当しないため財産分与の対象外となります。

(3)子どもの収入を原資とした財産

子ども自身がアルバイトをして得た収入は、子どもの特有財産になるため、共有財産の対象外です。両親と同居していて、生活のほとんどを両親の収入に頼っていたとしても、子ども自身で得た収入は特有財産となり、夫婦の共有財産とは区別されます。

2.子供名義の財産を隠すと後から請求されることがある

子ども名義の財産が財産分与の対象だった場合、子どもの将来のために築いた財産の半分を配偶者に渡すことになります。子どもの親権者になった場合、今後子どもを育てていくなかで、少しでも多くの財産を確保できたほうが安心です。そのようなことから、子ども名義の財産を隠して財産分与されないようにするケースは少なくありません。

財産分与をするときは、夫婦がお互いに認識している財産について話し合いをして分与を決めますが、配偶者が認識していない財産については、分与についての取り決めをせずに離婚をすることになります。

しかし、離婚後に、元配偶者から財産を隠したことを疑われ、弁護士会照会や調査嘱託を利用された場合、財産隠しが発覚する可能性が高いです。もし、財産隠しが発覚した場合、財産分与のやり直しや、損害賠償請求をされるおそれがあります。子ども名義の財産を使ってしまったあとに財産分与を請求された場合、支払いによって生活が困窮する可能性もあるため、財産分与の際はきちんと財産を提示するようにしましょう。

3.子供名義の財産が財産分与の対象外であることを証明するには?

子ども名義の財産が夫婦の共有財産でなければ、財産分与の対象外になります。しかし、子ども名義の財産が特有財産であることを配偶者に口頭で説明しても納得してもらえない場合があります。その際は、証拠を示して証明をする必要があります。

たとえば、預貯金であれば婚姻前の通帳や取引履歴明細、不動産や貴金属などであれば、購入時の書類などが有効です。特に調停や裁判では、口頭で説明しても認めてもらえない可能性が高いため、これらの証拠を用意して婚姻期間中に夫婦の収入を原資として形成された財産ではないことを立証していくことが重要になります。

4.離婚後の経済状況が不安なときは扶養的財産分与を受け取る

子ども名義の財産を離婚後の生活費に充てるつもりだったのに、財産分与によって難しくなった。このままでは、離婚後に生活が困窮する可能性が高いといった場合は、「扶養的財産分与」の受け取りを交渉しましょう

扶養的財産分与とは、離婚した後に経済的に自立することが難しい場合、生活費の補助となるお金を財産分与として受け取ることを約束するものです。

たとえば、妻が子どもの親権者となったものの、育児のためにフルタイムの仕事ができなくて生活に必要な収入を得られないケースや、妻が離婚時に仕事に就いておらず、就職するまで収入が見込めないといったケースが該当します。扶養的財産分与ができれば、離婚した後の生活が軌道に乗るまで金銭的に安心できるでしょう。

(1)扶養的財産分与で取り決めた条件は公正証書に残しておく

財産分与で取り決めた条件は、必ず公正証書に残しておきましょう
財産分与の条件を夫婦間の話し合いで決めただけでは、約束が守られなかったとしても配偶者に請求することが難しくなります。

とくに、離婚した後の生活費を扶養的財産分与に頼っていた場合、約束の金額を受け取れなかった場合、生活が困窮してしまうおそれがあります。

離婚した後では、連絡が取れない可能性もあるため離婚する前に必ず作成しておきましょう。

5.夫婦で話し合いをしてもまとまらない場合は弁護士に相談する

離婚の財産分与は、当事者にとってその後の生活に影響することが多いため、話し合いがまとまらずトラブルにつながるケースも珍しくありません。また、配偶者の財産隠しなどは個人で見つけることが難しいため、適正な財産分与を受け取れるためにも弁護士に相談することをおすすめします。

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