公開日:2022.09.30 離婚

内縁の相手と別れるときに財産分与を請求する方法

不倫 財産分与

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婚姻届を出さずに夫婦として共同生活を送る、いわゆる内縁関係にある2人が別れるときは、相手に財産分与を請求できます。財産分与の割合は、基本的に2分の1ずつです。

しかし、財産分与の話し合いに相手が素直に応じるとは限りません。話し合いで解決しなければ、裁判所に調停や審判を申し立てて請求しますが、それには内縁関係であることの証明が必要です。

では、内縁関係が認められる条件や財産分与の注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。確認しておきましょう。

1.内縁の相手に財産分与を請求する方法

内縁関係の解消で財産分与をするには、次の方法があります。

  • 2人の話し合いで条件を決める
  • 裁判所に調停を申立てる
  • 裁判所に審判を申立てる

内縁関係を解消したときに行う財産分与の割合は、原則2分の1ずつです。財産分与の方法は、内縁関係にある2人が話し合いで解決できなければ、裁判所に調停を申立てます。調停でも決まらずに不成立になれば、審判に移行して裁判官に決めてもらうことになります。

財産分与を請求する方法は、法律婚をした夫婦が離婚をするときと基本的には同じです。

ただし、内縁関係は法律上の婚姻関係とは違い、戸籍上に何も記載がありません。裁判所に申し立てをして内縁関係の相手に財産分与を請求するには、まず内縁関係が成立していたことの証明が必要です。

(1)財産分与は共有財産のみが対象になる

財産分与では、夫婦が所有する財産を原則2分の1ずつに分け合いますが、対象となるのは共有財産のみです。共有財産とは、内縁関係のある2人が協力して築いた財産のことを言います。

預貯金や不動産、生命保険の解約返戻金、退職金、年金など、内縁関係のあった期間中に協力して形成・維持されたと判断されたものが共有財産となり財産分与の対象です。

一方、それ以外の財産は、特有財産になります。内縁関係前から所有していた財産や、内縁関係の期間中に相続または贈与された財産などが対象です。

特有財産は、財産分与の対象にはならないため、請求することはできません。また、相手から特有財産の財産分与を請求された場合、その財産が特有財産であることを証明できなければ、共有財産に含まれるおそれがあります

そのため、特有財産を所有している場合は、財産分与されないように対策することが重要です。

共有財産と特有財産についての詳細については下記のコラムをご確認ください。
財産分与の対象外となる特有財産とは?条件と守り方について解説
財産分与の対象となる共有財産とは?該当する財産について解説

2.内縁関係を証明するための条件

内縁関係は、次の2つの条件を満たすと証明できる可能性が高くなります。

  • お互いに婚姻の意思を持っている
  • 2人で共同生活を営んでいる

内縁関係が成立する条件は法律で決まっていません。これをすれば内縁関係が必ず成立するという条件はないため、一つでも多くの証拠を集めることが重要です。

(1)婚姻の意思がお互いにある

内縁関係の証明には、お互いに婚姻の意思が存在していることが重要です。婚姻意思のない2人が共同生活を送っているだけでは、内縁関係の成立を証明することが難しくなります。

婚姻意思の存在は、お互いに夫婦として認識していることはもちろんですが、客観的に判断されていることも重要な要素です。

たとえば、結婚式を挙げている、親族や知人に妻や夫であることを紹介している、周囲の人からも夫婦として認識されているといったことが挙げられます。

内縁関係を解消する際、財産分与をしたくないために婚姻の意思がなかったことにするケースも珍しくありません。そのため、婚姻の意思があったことは、お互いの意思を確認するだけでなく、第三者からも認識されていることを証明できることが大切です。

(2)2人で共同生活を営んでいる

内縁関係を証明するには、お互いに共同生活を営んでいることが重要です。共同生活とは、同じ住所に住んでいるだけではなく、生計を同一としていることも含まれます。

家賃や住宅ローンなどの住居にかかる費用や、水道光熱費、食費など、生活にかかる費用を共にしている実態が証明できれば、共同生活を営んでいると判断される可能性が高いです

ただし、どれくらい共同生活をしていれば内縁関係が成立するかという明確な基準はありません。

3年以上の共同生活の実績があれば、内縁関係として成立する傾向がありますが、一つの要素です。その期間よりも短くても認められる場合もありますし、長くても認められないケースもあります。

3.内縁関係の相手に財産分与を請求するときの注意点

内縁関係の相手に財産分与の請求をするときは、注意すべき点があります。財産分与ができなくことや、約束が守られないおそれもあるため確認しておきましょう。

(1)財産分与を請求できるのは内縁関係の解消から2年以内

財産分与を請求できるのは、内縁関係を解消した日から2年です。2年が経過すると財産分与を請求する権利が消滅するため、相手が任意で応じない限り財産の受け取りが難しくなります。

内縁関係を解消した日から2年以内に裁判所へ「財産分与請求調停」を申立てておけば、2年が経過しても権利が消滅することはありません。ただし、2年が経過してから申立てを取り下げた時点で権利が消滅するので注意しましょう。

(2)財産分与の条件は公正証書に残しておく

夫婦の話し合いで決めた財産分与の条件は、必ず公正証書に残しておきましょう。

公正証書とは、公証役場で作成された契約証書のことです。相手が財産分与の条件を守らなかったときに、公正証書があれば裁判を行わなくても財産を差し押さえられます。

財産分与の条件は口約束や覚書でも成立します。しかし、約束が守られなかったときに証明することが難しくなるため、公正証書にしておくことでリスクを回避できるのです。

(3)税務署の調査に注意する

財産分与で受け取った財産は、基本的に課税対象になることはありません。夫婦が婚姻期間中に築いた財産を分け合うものなので、所得や贈与に該当しないからです。

しかし内縁関係は解消しても戸籍が変わらないため、税務署は財産が動いたことはわかってもその理由までは把握できません。そのため、内縁関係の解消による財産分与を行うときは、税務署から財産の移動について調査が入ることがあります

財産分与をしたあとは、税務署からの指摘を受けた場合に備えて、財産が贈与によるものではなく財産分与であることを立証できる資料を準備しておくことが重要です。

4.財産分与のトラブルは弁護士に相談する

内縁の相手と財産分与をする場合、内縁関係が成立していたことを証明するのが重要です。しかし、立証するために必要となる証拠を集めるのはなかなか大変な作業になると思います。

内縁の相手との財産分与が、話し合いだけでうまくいかないという場合は、一度弁護士にご相談ください。共有財産の洗い出しから内縁の相手との話し合いも代わりに行うため、解決までの時間を大幅に短縮できます。

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