公開日:2021.04.19 離婚

離婚するときに必要な学資保険の取り決めについて

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子どもの教育資金を貯める方法のひとつに学資保険があります。学資保険は、子どもの教育資金を貯めるための保険です。保険料を毎月払い込むことで、子どもの成長に合わせて必要になる教育資金を、返戻金として受け取れます。

婚姻期間中に契約していた学資保険は、夫婦の共有財産になります。そのため、離婚したあとの学資保険の扱いについて、夫婦で条件を取り決める必要があります。

条件の取り決めをしておかないと、受け取る返戻金が少なくなり、子どもの教育資金を用意できないおそれがあります。

離婚する際、学資保険についてどのような取り決めをすればよいか確認しておきましょう。

1.離婚した後に学資保険の返戻金を受け取る方法

離婚をするときには、学資保険の返戻金を受け取る方法について夫婦で取り決めておきましょう。学資保険の返戻金を受け取る方法は、「離婚時に学資保険を解約して返戻金を財産分与する方法」と「満期になるまで払い込みを続ける方法」の2種類があります。

返戻金を受け取る方法によって、金額、受け取り時期がことなるため、詳細を解説します。

(1)離婚時に学資保険を解約して解約返戻金を財産分与する方法

学資保険を解約すると、払い込んだ保険料と期間に応じた返戻金を受け取れます。受け取った返戻金は、婚姻期間中に払い込んだ保険料のみ夫婦の共有財産になるため、財産分与の対象になります。

財産分与の割合は、夫婦間の取り決めがなければ、原則二分の一ずつです。そのため、返戻金の半分が財産分与で受け取れます。

学資保険を解約すると、早ければ1~2営業日後に返戻金が指定口座へ振り込まれます。「財産分与を長引かせたくない」「離婚後の生活のためにすぐに現金が欲しい」という人は、こちらの方法を検討してみてもよいでしょう。

ただし、学資保険は、払い込みの途中で解約してしまうと、返戻金が元本よりも少なくなる「元本割れ」が起きるおそれがあります。払い込んだ保険料に対して受け取れる返戻金の割合は「返戻率」で表され、100%を超えると、元本以上の返戻金を受け取れます。

一般的に、払い込み期間が長い学資保険ほど、返戻率が100%を超えるまでの期間が長くなります。また、短期間で解約した場合の返戻率も低くなるため、学資保険を解約する前に夫婦でよく話し合ったほうがよいでしょう。

■学資保険の財産分与は離婚成立後でも請求できる

財産分与は、離婚が成立した日から2年以内であれば請求できます。離婚が成立したあとに、学資保険の契約を知った場合でも、婚姻期間中に払い込んだ保険料があれば、返戻金の財産分与が可能です。

(2)満期になるまで払い込みを続ける方法

夫婦が離婚をしても学資保険の契約内容は変わらないため、満期になるまで払い込みを続けることは可能です。学資保険は、子どもの成長に合わせてプランを組むことが多いため、学資保険を満期になるまで契約できれば、必要な教育資金を予定通りに受け取ることができます。

また、学資保険は、保険料の払込期間中に契約者が死亡または高度障害状態になった場合、保険料の払い込みが免除されます。払い込みが免除されても、満期になればプラン通りの返戻金が受け取れるため、万が一のことが起きても子どもの教育資金を確保できます。

学資保険を解約してしまうと、子どもの年齢制限などの理由により同じプランで再契約できないこともあるので、条件の良い学資保険であれば満期になるまで契約を継続したほうがよいでしょう。

ただし、学資保険は満期になるまでの期間が長い傾向があるため、返戻金の受け取り時期や割合を口頭で決めてしまうと、満期になるころには忘れてしまうおそれがあります。

そのため、離婚した後も学資保険の契約を継続する場合、取り決めた条件を書面で残しておくようにしましょう。

■学資保険は名義を変更することができる

学資保険は、契約の途中で契約者、受取人を変更できます。学資保険の契約者や受取人が配偶者になっている場合、離婚を機に名義変更をしておけば、管理しやすくなるでしょう。
ただし、婚姻期間中に契約していた学資保険は夫婦の共有財産のため、名義変更には配偶者の合意が必要です。また、名義変更したあとはご自身で保険料の払い込みをする必要があるため、離婚した後も契約を継続できるのか検討が必要です。

2.学資保険について取り決めた条件は公正証書で残しておく

離婚をするときに取り決めた学資保険の条件は、必ず守られるとは限りません。学資保険の契約者や受取人が配偶者になっている場合、勝手に解約されることや、返戻金を持ち逃げされるおそれがあります。

そのようなリスクを回避するためには、学資保険について取り決めた条件を公正調書に残しておく必要があります。

公正証書とは、法務大臣が任命した公証人が作成する公文書のことをいいます。公証人は、全国に約300か所ある公証役場にいるため、こちらで作成を依頼できます。

公正証書には執行力があるため、学資保険の返戻金が、公正証書に記載された条件の通りに受け取れなかった場合、強制執行を行い回収することができます。

また、公正証書の原本は、公証役場に原則20年間保管されており、この期間中は再発行が可能です。そのため、紛失などのリスクにも対応できます。

公正証書は、離婚が成立の前後どちらでも作成できます。しかし、離婚が成立した後では条件がまとまりにくいことがあるため、離婚する前に作成しておくとよいでしょう。

3.学資保険の契約状況が分からなければ弁護士照会を利用する

配偶者が学資保険を管理しており、契約内容を教えてもらえないという場合は、弁護士に相談してみましょう。弁護士は、弁護士法23条の2に基づいた弁護士照会という制度があるため、裁判所を通さなくとも、依頼された事件を解決するために必要な資料や証拠を収集することができます。

たとえば、配偶者が契約している学資保険が不明な場合、弁護士照会を利用すれば、加入している学資保険の種類や契約内容を確認することができるのです。

また、弁護士照会では、配偶者の預貯金、株式、不動産なども調査できるため、離婚する前に配偶者が学資保険を解約してしまい、返戻金を隠し口座や別の資産に移した場合も、把握することができます。

そのため、配偶者が学資保険や返戻金を隠そうとしても、弁護士照会を利用すれば発見することが可能です。

4.学資保険の扱いに困ったら弁護士に依頼しましょう

離婚する際、学資保険の取り決めについて話し合っても夫婦間で合意が得られない場合があります。その際は、弁護士に相談してみましょう
弁護士に相談することで、学資保険の取り扱いや手続きについて最適なアドバイスを受けることができます。また、学資保険以外の資産についても相談可能ですのでご安心ください。

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