公開日:2019.12.29 最終更新日:2020.06.11 離婚

夫婦の別居期間はどれくらいあれば離婚できるのか?

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夫婦の別居期間が長くなると、客観的に見て婚姻生活が破綻した状態だと判断されるため、法的な離婚理由となり離婚裁判で有利になります。そのため、夫婦のどちらか一方が離婚に同意しない場合、別居期間があれば、離婚しやすい状況をつくることができます。

ただし、自らが配偶者を置いて家を出ることで別居状態になると、離婚の際に配偶者から慰謝料を請求されることがあるため、注意が必要です。

ここでは、夫婦の別居期間による離婚について解説します。

1.別居期間が長くても離婚は自動的に成立しない

夫婦が離婚する場合、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つの方法がありますが、いずれの方法も最終的に離婚届が受理されることで成立します。そのため、別居生活を続けることで期間が長くなっても、自動的に離婚が成立することはありません。

別居している夫婦がお互いに離婚の意思を持っていれば、必要事項を記入した離婚届を役所に提出することで、すぐに離婚が成立します。しかし、別居している夫婦のどちらか一方が離婚に同意しない場合は、別居状態を一定期間続けることで、法定の離婚事由 に該当する可能性があるので、離婚裁判をすれば法的に離婚できることがあります。

法定の離婚事由とは、民法第770条によって定められている離婚事由理由です。民法第770条で定められている法的離婚事由には下記の5つがあります。

【民法第770条で定められている法的離婚時由】
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用:e-Gov法令検索

家庭裁判所に離婚裁判を申し立てるには、法定の離婚事由が必要になりますが、別居期間が長ければ婚姻生活が破綻していると判断されるので、法定離婚事由(婚姻を継続し難い重大な事由があるとき)に該当する可能性があります。

協議離婚、調停離婚、裁判離婚についての詳しい解説は「離婚したい人は離婚に必要な知識を確認しておく」のコラム記事をご参考ください。

(1)法定の法的離婚事由に該当する別居期間

法定法的離婚事由に該当する夫婦の別居期間には、明確な基準が設けられてはいません。別居によって夫婦の婚姻生活が破綻しているかどうかは、期間だけでは一概に判断できないからです。

インターネットで検索すると、一般的には、別居期間が5年以上あれば法的離婚事由に該当しやすいといわれています。記載しているサイトもあります。しかし、仮に夫婦の別居期間が3年であったとしても、婚姻期間が4年であれば婚姻生活のほとんどが別居状態のため、夫婦生活が破綻していると判断されることも十分ありえることです。

夫婦の別居期間と、婚姻生活が破綻しているという関係性は状況によって異なるため、自身で客観的に判断することは難しいです。そのため、別居状況が法的離婚事由に該当するか不安な人は弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談すれば客観的な視点で調査するため、別居期間が短くても、婚姻生活が破綻していると判断されれば、離婚に向けて早めに行動できることがあります。

(2)自分から別居をすると有責配偶者になるおそれがある

配偶者と一緒に暮らしていることが嫌になり、相手に理由を何も言わずに自ら家を出でしまい別居状態になると、有責配偶者になってしまうおそれがあるので注意しましょう。有責配偶者とは、民法第770条で定められている行為をしたことで、法的離婚事由の原因を作った配偶者のことです。

たとえば、夫婦のどちらか一方が不貞な行為、つまり不倫をしたことで夫婦生活が破綻した場合、不貞な行為をした人が有責配偶者となります。また、自ら夫婦の住む家を出ていき別居状態を作ることで、民法第770条の「配偶者から悪意で遺棄されたとき」に該当して夫婦生活が破綻したと判断されれば、有責配偶者になってしまうおそれがあるのです。

有責配偶者になってしまうと、配偶者から離婚請求をされた際に離婚の原因を作ったといして有責となり、慰謝料などを請求されることがあります。

(3)離婚調停は配偶者と顔を合わせなくても離婚に向けた協議ができる

離婚したいけれど、配偶者と直接話すのが嫌なので、別居をして離婚できる期間まで待つという人は、離婚調停をすることをおすすめします。
離婚調停とは、夫婦間の協議(話し合い)で離婚条件が決まらなかった場合に、裁判所で構成される調停委員会が夫婦間に入り、離婚に向けた協議をする方法です。離婚調停の間は、調停委員会と協議を行うため、夫婦がお互いに顔を合わすことはありません。

離婚裁判は、離婚調停が不成立になった後でなければできないため、いくら別居期間を延ばしてもいずれは離婚調停を行わなければいけません。離婚調停をする際には、弁護士を立てることで面倒な手続きや相手との交渉を申立人の代わりに全て行ってくれるのでおすすめです。

さらに、配偶者の暴力(DV)やギャンブルによる浪費などがあれば、離婚調停や離婚裁判を有利な条件で進められる可能性が高いため、別居するよりも早期に問題を解決できることがあります。

2.自身が有責配偶者の場合は離婚請求するのが難しい

別居中の夫婦のうち、有責配偶者の人が離婚請求しても原則認められません。有責配偶者の離婚請求を認めると、有責配偶者が離婚理由をつくれるため、離婚裁判をすることで容易に離婚できるおそれがあるためです。また、有責配偶者の都合で離婚理由が作られると、離婚の意思がない有責配偶者でない人を保護できないからです。

ただし、裁判所の過去の判例によって下記の3つの条件がそろった場合には、有責配偶者からの離婚請求であっても受け入れられることがあります。

(1)夫婦の別居状態が長期にわたって継続している

別居期間に基準はありませんが、仮に別居期間が長くても客観的に見て婚姻生活が破綻していると判断されなければ、有責配偶者の離婚申請は認められません。
別居期間は、上の項目で書いた期間(一般的に5年程度)よりもさらに長い期間が必要になるとされています。

(2)未成年者などの養育すべき子供がいない

経済的に自立できない未成年の子どもがいる場合は、親の養育が必要なため、有責配偶者の離婚請求は認められません。

(3)離婚成立後に配偶者が経済的に困らないように保障をしていること

配偶者が専業主婦などで収入がない場合、離婚成立後に収入がなくなり、経済的に困窮するおそれがあります。そのため、財産分与や慰謝料などで離婚成立後も配偶者が生活できるための経済的な保障をしなければ、有責配偶者の離婚請求は認められません。

3.まとめ

別居期間に関係なく、離婚するときは、夫婦の話合いで解決できなければ、離婚調停や離婚裁判をする必要があります。とにかく配偶者と一緒に暮らしたくないので、別居を検討しているという人は、別居をすることで問題解決が先に延びてしまうおそれがあるので、一度弁護士に相談することをおすすめします。

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