2018.07.17 法律コラム

交通事故で被害者が死亡したときの慰謝料の相場

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交通事故の被害者が加害者から受け取る慰謝料には3つの基準があります。
特に死亡事故では、突然家族を失った悲しみは大きく、それに比例してできるだけ高額な慰謝料を請求したいと思うものです。
ここでは、交通事故で被害者が死亡したときの慰謝料の相場について詳しくご紹介します。

1.交通事故で被害者が死亡した場合の慰謝料とは

慰謝料は、交通事故によって受けた恐怖や悲しみなど、目に見えない精神的苦痛を償うためにあるものです。

(1)慰謝料には2種類ある。

交通事故で請求できる慰謝料には「被害者への慰謝料」と「遺族固有の慰謝料」の2種類があります。

大切な家族を事故で失った遺族は、精神的にも経済的にも大きな苦痛を強いられるため、「遺族固有の慰謝料」の請求権も認められています。

(2)慰謝料の基準は3タイプ

慰謝料は公平な損害賠償を実現するために、客観的に計算して定額化されるようになりました。
次に挙げる3つの基準があり、それぞれの基準ごとに金額が大きく異なります。

a)裁判所基準

過去の裁判例で認められてきた慰謝料の金額を目安として基準化したものです。
(財)日弁連交通事故相談センターが発行する「交通事故損害額算定基準(通称「青い本」)」と、(財)日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)が、裁判所の見解を踏襲した書籍として、裁判実務でも使用されています。
3つの基準の中で最も高い水準で、弁護士に保険会社と交渉を代行してもらうことで金額を裁判所基準まで引き上げられる可能性があります。

b)任意保険基準

自賠責保険基準よりは高い水準ですが、裁判所基準と比較するとかなりの低水準です。
保険会社も営利目的で会社を運営している以上、あまり高額な慰謝料を支払いたくないのが本音です。
保険会社により金額は異なるものの、どこも裁判所基準よりは低い金額が設定されていることに変わりはありません。

c)自賠責保険基準

車を所有している人が必ず加入しなければならない自賠責保険の水準は3つの水準の中でも最も低額で、最低限の保障しか受けられません。

2.被害者固有の慰謝料とは?

交通事故で突然命を奪われてしまった被害者にも、慰謝料の請求権が認められていますが、遺族がその請求権を相続します。
その慰謝料額は、先述した3つの基準ごとに相場があります。

(1)裁判所基準

先述した「赤い本」で定めている慰謝料の基準は次の通りです。

①一家の支柱 2,800万
②一家の支柱に準ずる者 2,500万
③その他 2,000万~2,500万円

①一家の支柱とは、被害者の収入によって当該家庭の生計を維持していた人をいいます。
②一家の支柱に準ずる者とは、家事の中心をなす主婦、養育を必要とする子を持つ母親、高齢な父母や幼い兄妹を扶養または仕送りしている独身者がこれにあたります。
それ以外の人は③に該当します。

あくまでも相場であり、案件によってはこれより増額または減額される可能性もあります。特に裁判になった場合は、裁判官の自由裁量で決められるので、これらの水準は参考にとどめた方が良いでしょう。

なお、実務では被害者本人への慰謝料と遺族固有の慰謝料の両方を含んだ金額を算出しており、本人分と近親者の分を分けないのが通常です。

(2)任意保険基準

保険会社が自由に設定している基準で、裁判所基準と比較すると低額です。

(3)自賠責保険基準

家庭での地位に関係なく、一律で350万円です。

3.近親者の慰謝料

近親者に対する慰謝料も認められています。

(1)裁判所基準

裁判所基準は、被害者本人への慰謝料の中に近親者に対する慰謝料も含まれています。

(2)任意保険基準

保険会社が独自に算定基準を定めていますが、裁判所基準に比べると低額です。

(3)自賠責保険基準

自賠責保険基準は他の基準とは異なり、案件ごとに決まった金額が設定されています。

近親者が1人の場合は550万円、2人なら650万円、3人以上なら750万円が支払われます。
被害者に扶養家族がいる場合は、それぞれに200万円が加算されます。

4.慰謝料を受け取るまでの流れ

(1)加害者の任意保険から受け取る場合

加害者が加入する任意の保険会社からの慰謝料の提示を受け、示談内容に合意するかどうかを検討します。

治療費や通院交通費などの実費はともかくとして、慰謝料や逸失利益の金額は専門家でなければ判断が難しいのが現実です。
提示された金額が本当に妥当なものなのか、もっと引き上げることはできないのかなど、自分では判断がつかないときは、その場で合意せず、返事を保留にしましょう。

そして、交通事故に詳しい弁護士に提示された金額が妥当かどうか相談してみることです。
一般的に保険会社は、裁判になったときに認められる慰謝料額よりも低い金額を提示してきますし、被害者に対しても「もうこれ以上は金額を引き上げられない」と言うことが多いです。
弁護士に相談して、場合によっては示談を代行してもらうか、裁判による解決を図るなど、保険会社への対応を検討することをおすすめします。

(2)自賠責保険から受け取る場合

加害者が任意保険に加入していない場合、自賠責保険会社に直接請求します。
次の必要書類を添付して自賠責保険会社に直接請求しましょう。

①交通事故証明書

自動車安全運転センターが発行する書類で、いつ、どこで、どのような事故が起きたのかが記載されています。
自動車安全運転センターの窓口で発行してもらうか、郵送を希望する場合は、損害保険会社、警察署、交番などで交通事故証明書交付申請書の交付を受け、交付手数料を添えて郵便局に申請します。

②事故発生状況報告書

事故の発生状況が記載された報告書です。
裁判になったときに重要な資料として使用することもあるので、事実関係について誤認ないように記載されているか確認しましょう。

③死亡診断書・診療報酬明細書

死亡の診断を受けた医療機関にて申請します。

⑤請求者の印鑑証明書

保険金等の受領者が本人であることを確認するために必要となります。印鑑登録をしている市区町村で取り寄せできます。

⑥被害者の除籍謄本

被害者と請求権者全員の関係確認のために必要となります。本籍を置く市区町村で取り寄せできます。

他にも案件によっては通院交通費明細書や休業損害証明書等が必要になることもあります。
自賠責保険は、加害者を通さず被害者自ら請求手続きを行うので、一定額の仮渡金の支払いを受けたいときや、当面の治療費、生活費に困るときに利用されています。
自賠責保険から慰謝料の受け取り方について、より詳しい流れが知りたい方は、交通事故に詳しい弁護士にお気軽にお問い合わせください。

まとめ

身近な方がお亡くなりになるのは、精神的にとても辛く苦しいことです。そのため、どうしても面倒な手続きなどには気が行かず、そっとしておいてほしいと思うのが心情かと思います。
ただ、故人の事故の状況を正確に把握していくためには、近親者の方々の協力が必要です。
また、現実的にはこれからの生活の問題もあります。
突然のことでわからないことが多いでしょうが、弁護士に相談することで、慰謝料の相場や保険会社の提示金額について、一緒に検討していくことができます。
必要であれば、保険会社との交渉から相続の手続きなど、必要なことを代わりに進めていくことも可能です。

被害者の過失割合など厄介な問題もありますので、ご自身で判断したり、後回しにせず、早めにご相談ください。