公開日:2018.05.28 最終更新日:2019.01.04 法律コラム

遺産分割の流れと相続人同士のトラブルを回避する方法

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日本の法律では、死亡した人(被相続人)が遺言を残している場合、遺産分割は法定相続よりも遺言による相続が優先されます。
しかし、遺言による相続はなじみが薄く、法定相続によって遺産の分割が行われるケースがほとんどです。
ただ、この相続の配分で仲の良かった相続人同士でもトラブルが起こりがちです。
そこで、相続人間で「遺産分割協議」を行い、遺産の取り分を話し合いが行われます。
ここでは遺産分割の流れと、分割方法、話し合いでまとまらなかった時の解決法をご紹介します。

1.遺産分割の流れ

遺産分割の開始から完結するまでの流れをご紹介します。

(1)遺言書の有無を確認

まず、被相続人が生前に作成した遺言書があるかどうかを確認します。
たいていは同居している人が被相続人から委託を受けて所持しているものです。
被相続人の遺品を整理するときに探してみても良いでしょう。

(2)相続財産の確認

遺産は預貯金、不動産、株式や骨董品などさまざまなかたちで残されています。
すべての相続財産を記載した「財産目録」を作成しておけば、遺産分割協議の際の資料として使えます。

(3)相続人の確定

遺産分割協議には相続人全員の参加が求められます。
例えば両親、子ども2人の4人家族で夫が亡くなった場合、相続人は妻と子2人だけとなります。
ですが、夫が妻に内緒で隠し子を認知していたり、前妻との間に子どもがいたりする場合もあります。
このように他の相続人がいるかどうかを調べるために、被相続人の出生から死亡までの「連続した戸籍謄本」を市区町村役場で取り寄せる必要があります。

(4)遺産分割協議を行う

原則として、共同相続人が全員集まって話し合いを進めていきます。
いつ、どのようなかたちで行うかなど、進め方には特に決まりはなく共同相続人が自由に決められます。
そして、協議内容を決定するには多数決ではなく、全員の合意が必要です。
遺産分割協議は一度成立するとやり直しがきかないので、全員が納得できるような遺産分割になるよう、協議を進めていきましょう。

(5)話し合った内容を遺産分割協議書にまとめる

遺産分割協議書は、決まった書式がありませんが、後々揉めないためにも分割した内容を書面に残しておきます。

①遺産分割協議を行った日付
②相続人全員が遺産分割協議の内容に同意したという宣言
③遺産のリスト
④それぞれ誰が取得したかを明記
⑤相続人全員の署名と実印

これらの項目はもれなく記載しましょう。
なお、遺産に不動産がある場合、印鑑証明書を添付して所有権の移転登記手続きを行います。

(6)話がまとまらない場合は調停へ

遺産分割協議で最後まで話し合いがまとまらない、あるいは相続人同士の仲が悪くて全員が集まることができない、などの理由で協議自体ができないケースもあります。

そのようなときは家庭裁判所の調停で配分を決めます。
通常の遺産分割協議よりも手続きがやや複雑になるので、調停を申し立てる前に相続関係に詳しい弁護士に相談して調停の詳しい流れを把握すると良いでしょう。

2.相続財産はどのように分ける? 4つの分割方法

先述した通り、相続できる遺産は、預貯金などのお金だけではありません。
遺産相続できるものは不動産や株券など、金銭的に価値のあるものは相続の対象となります。
それらの分け方として、次の4つの方法があります。

(1)現物分割

現物分割とは、預貯金や土地など分割可能な遺産をそのままの状態で相続人同士が分け合うことです。
例えば、被相続人である夫の100坪の土地を残していた場合、法定相続分で考えると妻が50坪、子2人がそれぞれ25坪ずつ分け合います。
しかし、長男は大学を出て次男は高卒で事業を受け継いだ、などの個別の事情を考慮して妻が50坪、子どものうち長男が20坪で次男が30坪と分けることもできます。
この配分について遺言がなければ遺産分割協議で話し合いが行われます。

(2)代償分割

代償分割は、相続人の一部が現物を取得し、その相続人が他の相続人に対して代償金を支払うことで遺産を分割する方法です。
代償分割せざるを得ない事情があったり、代償分割を行うことについて相続人間全員で合意しているなど、特別な条件が必要と言われています。

(3)換価分割

換価分割とは、遺産の一部または全部を売却して売却代金を相続人間で分配することです。

現物分割ができず、代償分割の条件を満たさないときに換価分割を行います。
ただし、財産を売却するにあたって譲渡所得税が課税されます。

(4)共有分割

共有分割は所有権を一人に決めず、各相続人が共有して所有することです。
現物分割、代償分割、換価分割のいずれもできない場合の最後の手段として用いられます。

一見すると公平な分配に見えますが、不動産を共有分割する場合、共有者全員の同意がなければ売却や建築などの土地活用ができず、不便なことが多いのが特徴です。

3.話し合いでまとまらない場合は?

(1)法定の相続分割では納得がいかない場合は話し合いで解決を

上記の例で夫が死亡した場合、法定の相続分割は妻が2分の1で、子どもは4分の1ずつになります。
しかし、現実にはそのようにきっちりと分け合うケースはほとんどなく、遺産分割協議で話し合い、それぞれの取り分を決定しています。
それでも、経済力の差や被相続人に対する貢献度(長男が父親の介護を続けていたなど)といった個別の事情が原因で、どうしても争いが起こるものです。

(2)相続人同士で解決できない場合は弁護士が仲裁に入る

相続人同士で特殊な事情や思い入れなどがあって自分たちだけで解決するのが難しいときや、客観的なアドバイスが必要なとき、まずは弁護士に相談してみましょう。
弁護士なら中立な立場で法的なアドバイスができますし、全員が納得のいくような解決方法を模索していくことができます。

(3)弁護士が入ってもまとまらない場合は、家裁の調停へ

弁護士が仲裁に入っても、話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の調停で遺産の配分を決定します。
申し立ては、相続人なら誰でも可能ですが、仲裁に入った弁護士と相談しながら手続きを進めていきましょう。
同じ弁護士に依頼した方が、詳しい事情を把握しているので調停開始前後の手続きもスムーズになります。

4.まとめ

遺産分割でトラブルが起きているのは、ごく普通の人たちです。
当事者間での解決が難しい場合は、新小岩法律事務所までお気軽にご相談ください。
遺産相続に詳しい弁護士から法的なアドバイスを受けることで、具体的な解決への糸口が見つかり精神的にも安心できるはずです。
「少し話を聞くつもり」でかまいませんので、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。