公開日:2023.05.31 離婚

決定的な理由がなくても離婚を成立させる方法

離婚 理由がない

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夫婦が離婚するには、DV、借金、不倫など、何か決定的な理由が必要になると思われている方が少なくありません。実際はそのようなことはなく「価値観や考え方が合わない」「一緒に居ても幸せを感じない」といった理由でも離婚はできます。

ただし、離婚はご自身や子どもの人生に大きな影響を及ぼすため、慎重な判断が必要です。ここでは、決定的な理由がない状態で離婚をする方法について解説しますが、夫婦関係の修復についても触れています。
理由がないのに離婚を考えている場合、ちょっとしたきっかけで夫婦関係を修復して平穏な日々を過ごすこともできるかもしれません。再構築の方向性についてもご検討ください。

1.協議離婚は理由がなくても成立する

協議離婚とは、夫婦の協議(話し合い)だけで離婚条件を取り決めて離婚することです。離婚条件がまとまれば、離婚届を役所に提出して受理されると離婚が成立します。

どのような理由であっても、夫婦の合意があればよいので、極端な話「離婚したい」という一言だけでも、配偶者が納得すれば完結します。ただし、配偶者に離婚を切り出したとき、理由の説明を求められることがほとんどだと思います。そのため、ご自身の気持ちを伝えられるよう準備しておくことが大切です。

(1)離婚を切り出しても慰謝料を払う必要はない

明確な理由がないのに離婚を切り出したからといって、配偶者から慰謝料を請求されることは基本的にありません。離婚の慰謝料は、有責行為で受けた肉体的・精神的な苦痛に対して支払われる賠償金になるためです。
有責行為とは、法律で定められた離婚理由である「法定離婚事由」に該当した行為となり、下記の5つが該当します。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 回復の見込みがない強度の精神病
  5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由

たとえば、離婚の理由がご自身の不倫であれば、不貞行為に該当する可能性が高いため、配偶者から慰謝料を請求されると支払い義務が生じることがあります。
しかし、離婚の理由が性格の不一致であれば有責行為に該当しないため、配偶者が慰謝料を請求してきても支払いが認められる可能性は限りなく低いでしょう。

(2)養育費の金額には影響しない

養育費の金額は、離婚理由によって変わることはありません。親が子どもを扶養する義務と、離婚の理由は法的に無関係なためです。養育費は子どもが経済的に自立するまでに必要な費用を、一緒に暮らす親(監護親)ではない方が、扶養義務の一環として支払います。親と子どもの関係になるため、夫婦の離婚理由は養育費とは関係ないのです。

養育費の金額は、子どもを育てるためにかかっている現状の費用や、今後必要となる費用、夫婦の収入などを考慮して決められます。離婚の理由によって養育費の減額を請求された場合、応じる必要はありません。

(3)財産分与の割合も変わらない

財産分与の割合や権利も離婚の理由によって変わることはありません。財産分与は、夫婦が結婚生活のなかで協力して築いた財産を分け合うものです。財産分与を請求する権利は、法律で定められており、離婚理由に関係なく受け取れます。

離婚を切り出したときに、配偶者が「財産分与を拒否する」と言ったとしても、権利は法律で守られているため、拒否することはできないのです。

■離婚条件は公正証書に残しておくことが大切

養育費の金額や財産分与の割合、子供の親権などの離婚条件は、お互いが忘れないように書面に残すことが多いと思います。しかし、書面に残したからといって配偶者が約束を守るとは限りません。もし、離婚条件が守られなかった場合、裁判をして主張が認められると、差し押さえなどの強制執行を行います。

それでも、手間や時間がかかるため、離婚条件が決まったら内容を公正証書に残しておきましょう。公正証書に残しておくことで、万が一養育費の支払いや財産分与が条件通りに行われなかった場合、裁判しなくても強制執行で財産を差し押さえることが可能です。

2.同意が得られなければ調停で離婚する

離婚の話を切り出しても配偶者が納得せず、話が平行線になることも多いです。夫婦の話し合いだけだと進展しない場合は、調停で離婚を成立させることを検討しましょう。

(1)調停の申し立てに明確な離婚理由は必要ない

調停とは、夫婦の間に裁判所で構成された調停委員が入り、問題の解決に向けて話し合いを進めるものです。調停委員が夫婦それぞれから話を聞くため、夫婦が直接顔を合わせることはありません

そのため、夫婦だけで話し合いをしても、配偶者が感情的になったり、話し合いに応じなかったりして先に進めない場合は、調停によって解決できる可能性が高くなります。調停は、家庭裁判所に申し立てますが、離婚理由は問われないため、法定離婚事由に該当している必要はありません。ただし、調停委員から離婚したい理由を聞かれる可能性が高いため、ご自身の考えを伝えられるように準備しておいたほうがよいでしょう。

(2)裁判は離婚理由が必要になる

調停を重ねても配偶者が離婚に同意しない場合、調停不成立となり終了します。それでも離婚したいときは、裁判で離婚を成立させることができます。裁判を進めるには、調停を行った家庭裁判所へ離婚訴訟を申し立てます。

離婚裁判では、裁判官が夫婦の主張を聞き判決を下します。判決によって離婚が決まれば、配偶者の同意がなくても離婚は成立します。

ただし、裁判で離婚を成立させるには、離婚理由が法定離婚事由に該当していることが条件です。性格の不一致など法定離婚事由に該当しない場合は、離婚裁判をすることはできません

3.離婚前に関係の修復を検討する

平穏な日々や幸せを取り戻すために、離婚を選択するのは間違いではありません。しかし、配偶者に不倫やDVのような決定的な離婚理由がない場合、夫婦関係の再構築についても考えてみてください。

結婚生活は、他人同士が共同生活を営むため、育ってきた環境の違いから価値観や考え方の違いは少なからずあります。そこをお互いが認識をして認め合うことができれば、より良い夫婦関係を築けるかもしれません。

(1)専門家を交えて話し合いをする

夫婦で再構築について話し合いをしても、配偶者が話を真剣に聞いてくれないことや、感情的になる場合は、第三者を交えた話し合いの場を設けてみましょう。

第三者が同席をすることで、中立なアドバイスや話の軌道修正ができるため、配偶者に意思を伝えやすくなります。第三者は、中立な立場の人であることが大切なため、夫婦カウンセラーなどに依頼しましょう。

当事務所には、資格を持った夫婦カウンセラーが在籍しており、夫婦関係の再構築についてもお手伝いしています。ぜひ一度ご相談ください。

(2)距離を置いて生活してみる

夫婦関係の修復には、一時的な別居も有効です。夫婦が毎日同じ空間で生活をしていると、相手の嫌なところが目につくようになることがあります。一度、物理的な距離を置くことで気持ちが落ち着き、お互いによいところを再認識できる可能性があります。

ただし、別居は、経済的な負担の増加や子どもへの悪影響も考えられるため、期間を決めて行うようにしましょう。

4.配偶者との関係に答えがでないときは弁護士に相談を

決定的な理由がないのに配偶者との離婚を考えている場合、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。夫婦関係の悩みを夫婦カウンセラーなどの専門家に相談することで、頭の中の考えが言語化され、離婚したい理由や解決策が見つかるかもしれません。

また、夫婦関係の問題を専門家に話すことで、モラハラや精神的DVなどの被害が発覚することもあります。もし、周りに相談する人がいない、誰かに話を聞いてほしい場合は、当事務所にお問い合わせください。

弁護士法人新小岩法律事務所では、予約により平日20:00開始の無料相談も行っております。当事務所は新小岩駅南口徒歩1分の場所にありますので、小岩、新小岩、平井、亀戸、錦糸町など、総武線沿線の地域にお住まいの方は、仕事帰りにぜひご活用ください。当事務所では、上記の地域だけでなく市川、船橋や松戸の方からもご相談をいただいております。

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