公開日:2022.09.26 最終更新日:2024.03.21 離婚

離婚の原因が配偶者の不倫でも財産分与はするのか?

不倫 財産分与

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夫婦が離婚をするときには、財産分与を行い婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を清算します。財産分与を請求する権利は、離婚の原因によって失われることはありません。

そのため、離婚に至った原因が配偶者の不倫であった場合でも、財産分与を請求された場合には応じる必要があります。

ただし、財産分与の条件を決める協議の際、交渉の進め方によっては割合を変えられる可能性があります。

ここでは、配偶者の不倫が原因で離婚した場合の財産分与について解説しています。配偶者の不倫による離婚で、財産分与の請求に納得がいかないという方はご参考にしてください。

1.配偶者の不倫が原因の離婚でも財産分与は原則2分の1ずつ

財産分与の目的は、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた共有財産を、離婚時に分け合い清算することです。仮に離婚の原因が配偶者の不倫であったとしても、夫婦が協力して築いた財産という事実は変わりません。

そのため、財産分与の際には離婚に至った原因に関係なく、配偶者から請求されたときには共有財産を配偶者と原則2分の1ずつ分配します。

配偶者の有責で離婚をする場合、財産分与をしたくないと思われる方もいらっしゃると思います。しかし、財産分与は離婚原因とは別の問題として考えられるため、配偶者から請求されたときは原則応じる必要があるのです。

2.財産分与の対象になる財産

財産分与を行う前は、財産を「共有財産」と「特有財産」の2種類に分けてから、共有財産に該当するものだけを財産分与します。

「共有財産」とは、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産のことをいいます。財産を形成したのが、夫婦のどちらか一方の収入だけだった場合でも共有財産です。

一方、夫婦の協力関係が無い状態で形成された財産を特有財産といいます。結婚する前から所有していた財産や婚姻期間中に夫婦以外の親族などから相続、贈与を受けた財産が該当します。

下記は、財産分与の対象となる共有財産の例です。

【財産分与の対象となる財産】

  • 現金や銀行預金
  • マンションや戸建て土地などの不動産
  • 株式や債券などの有価証券
  • 生命保険の解約返戻金
  • 退職金
  • 年金(確定拠出型年金など民間企業を通じて加入するもの)
  • 自動車
  • 趣味として購入したもの

共有財産と特有財産についての詳細は、下記のコラム記事も参考にしてください。

(1)慰謝料は財産分与の対象外になる

配偶者の不倫が発覚した場合、配偶者とその不倫相手に慰謝料を請求できます。このときに受け取った慰謝料は、夫婦の協力は関係ない特有財産になるため、財産分与の対象外です。

ただし、慰謝料を受け取った後の管理には注意が必要です。

民法第762条2項では、夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。と定められているため、財産分与の際、特有財産であることを証明できなければ、共有財産に含まれてしまい財産分与の対象になることがあります。

そのため、受け取った慰謝料は専用の口座で管理することや、慰謝料が確定した際の証明書などを保管しておくことが重要です。

3.財産分与の割合は配偶者の合意があれば変えられる

離婚の原因が配偶者の不倫であったとしても財産分与は2分の1ずつが原則ですが、下記の2つの方法であれば割合を変えられる可能性があります。

  • 財産分与請求調停を起こす
  • 配偶者に財産分与を放棄してもらう

財産分与の割合や行使するかしないかは、権利を持つ配偶者の自由です。高圧的な態度や騙すといった行為で配偶者の合意を得たとしても、後から取り消されることがあるため、正しい手順で進めていきましょう。

(1)財産分与請求調停を起こす

配偶者の不倫が原因で離婚に至ったのに、共有財産を2分の1ずつ分配することに納得できない方は財産分与請求調停を検討してみましょう。

財産分与請求調停では裁判所の調停委員が夫婦の間に入り、事情を聴きお互いの要求を確認します。調停委員は、その内容を踏まえて解決策を夫婦に提示し、合意を目指した話し合いを進めます。

財産分与請求調停のなかで、離婚の原因をつくったのが配偶者であること、そして財産分与の割合について2分の1ずつの分配に納得がいかないことを調停委員に伝えます。その内容について調停員と配偶者が話し合い、合意を得ることができれば財産分与の割合が多くなる可能性があります。

調停委員に意思をうまく伝える自信が無いという方は、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼することで、調停委員との話し合いを有利に進められるため、納得のいく結果が期待できるだけでなく、解決までの時間を大幅に短縮できることがあります。

(2)配偶者に財産分与の請求権を放棄してもらう

財産分与の請求権は、配偶者が合意すれば放棄してもらうこともできます。
行使するかしないかは配偶者の自由なので、絶対に請求しなければいけないということはありません。ただし、配偶者との協議で財産分与の放棄してもらうには、それなりの理由が必要になります。

配偶者が財産分与の請求権を放棄する場合、たとえば下記のような理由が考えられます。

  • 離婚に応じてほしい
  • 子どもの親権の獲得したい
  • 養育費を増額したい

このように、配偶者が財産分与よりも優先度の高い条件がある場合、財産分与の放棄について協議する際の交渉材料になる可能性が高いです。

(3)財産分与の条件は協議書に残しておく

夫婦が離婚する際は、養育費や親権など取り決めた条件を離婚協議書に残しておくことが重要ですが、財産分与についても同様です。

財産分与の対象となる財産やその割合などを書面に残しておくことで、割合が条件と異なっていた場合や財産分与を放棄したのに離婚後に請求してきたなど、約束が守られなかった際に証明することができます。

ただし、離婚協議書を作成しただけでは法的な効力がありません。そのため、作成した離婚協議書は公証役場で公正証書にしておきましょう。公正証書に記載された約束が守られなかった場合、裁判所を通さなくても強制執行により相手の財産を差し押さえることができるようになります。

4.財産分与の協議をする際は弁護士にご相談ください

配偶者の不倫が原因で離婚をする場合、配偶者から裏切られたという気持ちから、財産分与の割合を少しでも多くしたいと思われる方もいらっしゃるかと思います。離婚の原因と財産分与は別の問題として考えられるため、不倫が財産分与の割合に影響する可能性は低いです。しかし、財産分与の割合は配偶者の合意があれば割合を変えることができます。そのため、交渉次第では財産分与を配偶者よりも多く受け取れる可能性もあります。

財産分与の協議では、ご自身の考えを配偶者に伝えて合意を得る必要があります。上手く説明できるか心配な方は弁護士にご相談ください。

法律の専門家である弁護士が当事者の代わりに配偶者と交渉することで、財産分与を少しでお有利な条件で解決できる確率が高くなります。

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