公開日:2020.08.10 交通事故

交通事故の賠償金を請求する裁判はどのような流れで行われるのか

お困りの方は、お気軽にご相談ください。

03-5879-6703
電話受付時間 9:00〜18:00

交通事故の被害に対する賠償金は、被害者と加害者の示談交渉によって金額が決まることが多いです。しかし、加害者側が提示する条件に納得できず、示談や調停を重ねても折り合いがつかない場合には、裁判で決着をつけることがあります。

ただし、裁判を起こした結果、必ず良い判決が出るとは限りません。場合によっては、裁判の途中で提示される和解案を受け入れたほうが、賠償金額を多く受け取れる場合もあります。

ここでは、交通事故の被害者が、加害者を相手に裁判を起こして賠償金を請求するための流れを解説します。

1.交通事故における裁判の流れ

交通事故の裁判は以下の流れで進んでいきます。

  1. 裁判所に「訴状」を提出する
  2. 第1回口頭弁論が開催される
  3. 以降、複数回にわたり期日が開かれる
  4. 判決言渡期日が決定する

裁判所の「事件類型別事件状況(民事第一審・行政第一審・家裁人事)①(平成30年終局事件)」によると、交通損害賠償事件の第1審が終わるまでの期間は、6月以内(19.7%)、6月超1年以内(41.3%)、1年超2年以内(32.7%)と、全体の約90%が2年以内に終わっています。しかし、裁判が難航すれば、第一審が終わるまでに2年以上の期間がかかってしまう場合もあるので、長期で戦う覚悟が必要です。

(1)裁判所に「訴状」を提出

交通事故で裁判を起こすためには、まず訴えたい内容を記載した「訴状」を裁判所に提出します。訴状の送り先は、加害者への請求金額によって異なり、賠償金の金額が140万円未満であれば簡易裁判所、140万円以上であれば地方裁判所です。
訴状が裁判所に受理されると、およそ10日以内に第1回口頭弁論を行う期日を決定するための連絡が裁判所から来ます。提示される期日は、1か月~1か月半ほど先になるケースが多いです。

第1回口頭弁論の期日が決定すると、裁判所は加害者側へ訴状や証拠などを含めた書類一式を送付します。

なお、第1回口頭弁論の期日を決める際は、基本的に加害者側の予定は考慮されません。

(2)第1回口頭弁論が開催される

日程の変更がなければ、決められた期日通りに、第1回口頭弁論が開催されます。口頭弁論では、裁判官の前で、被害者側と加害者側とで交通事故に関する証拠を出し合い、事実や法律上の問題点などを確認しながらお互いの主張を争います。

ただし、第1回口頭弁論では、被害者側が提出した訴状と、加害者側が提出した答弁書の内容を確認後、次回の口頭弁論での内容と日程を決めて終わるケースが多いです。

答弁書とは、訴状の内容に誤りがある場合や、異議があった場合に、その内容を記載するための書類です。加害者に送付される訴状に同封されており、主張がある場合は、第1回口頭弁論までに答弁書を完成させ裁判所に提出します。

裁判所の「事件類型別事件状況(民事第一審・行政第一審・家裁人事)①(平成30年終局事件)」によると、交通損害賠償事件の平均口頭弁論期日回数は、2.1回となっているため、口頭弁論は2~3回程度開催されると考えていたほうがよいでしょう。ただし、口頭弁論は判決がでるまで行われるため、場合によっては4回、5回と続くこともあります。

なお、口頭弁論は判決が出るまで約1か月に1回の頻度で行われます。

■裁判で勝つためには口頭弁論までに証拠をしっかりと集める

訴訟成立後から第1回口頭弁論までの期間、または第1回口頭弁論から第2回口頭弁論までの期間は、訴訟内容を認めてもらうための証拠を集めることが大切です。被害者側の主張が真実であったとしても、裁判官に証拠が提出できなければ、いくら口頭で説明しても認められる可能性が低いからです。

また、加害者側も口頭弁論までに主張を通すための証拠を揃えてくるため、準備不足だと加害者側に有利な判決が下るおそれもあります。

口頭弁論で有利になる証拠は、交通事故の内容によって異なります。さらに、証拠を集めるための費用や時間もかかるため、交通事故の裁判を起こす場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。

(3) 判決言渡期日が決まる

口頭弁論を繰り返し、被害者側と加害者側の証拠が出揃ったと裁判官が判断すると、弁論の終結を宣言して、判決言渡期日を言い渡します。判決言渡期日は、原則として弁論の終結から2か月以内とされています。判決内容は、後日郵送されてくる判決正本で確認できるため、判決言渡期日に裁判所で行く必要はありません。

なお、判決の効力は、判決正本が届いてから2週間後に確定します。そのため、もし、加害者側が判決内容に納得できない場合、判決の送達を受けた日から2週間以内に上級裁判所に控訴すると、第二審が始まり再び加害者と争うことになります。

2.裁判の途中で和解を勧められることもある

交通事故の裁判では、裁判官から和解提案を提示されることがあります。裁判官から提示される和解案は、口頭弁論でのやりとりや過去の判例を踏まえた案になります。そのため、和解案を受け入れなかったとしても、裁判の判決は和解案に近くなる場合が多いです。

和解案を受け入れると、判決が下る前に裁判が終了するため、賠償金を受け取れる期間も早くなる可能性があります。ただし、和解案を受け入れなかった場合、裁判の判決が下るまで、賠償金を受け取れません。さらに、裁判に勝ったとしても、加害者が賠償金を支払える能力が無かった場合、財産の差し押さえなどができないため、賠償金を受け取れないおそれもあります。

しかし、和解案は、被害者側と加害者側の双方が譲歩する内容になっている場合が多いため、請求する賠償金の満額が受け取れるわけではありません。そのため、和解案の内容が本当に適切な内容であるかどうかは、きちんと確認する必要があります。

3.交通事故の裁判をするために必要な費用

交通事故の裁判を起こすときにかかる費用は、「裁判所への収入印紙代と郵便切手代」と、弁護士に依頼する場合は「弁護士費用」です。裁判所への収入印紙代は、請求する賠償金によって異なり、数万円程度かかることもあります。また、郵便切手代は、裁判所によって異なりますが、およそ5,000円~6,000円がかかります。加害者の人数が増えると、その分送付する書類が増えるため、費用がかかります。

また、裁判を弁護士に依頼する場合は、弁護士費用がかかります。弁護士費用の内訳は、依頼するときに発生する着手金と、賠償金から受け取る成功報酬です。さらに、裁判所への出廷や、調査などにかかった費用は別途発生します。

当事務所に依頼した場合の費用については「費用について」をご確認ください。

(1)弁護士費用特約が付いていれば弁護士費用が抑えられる

交通事故の裁判で弁護士に依頼する場合、ご自身が加入している任意保険に弁護士費用特約がついていると、弁護士費用の負担を抑えられます。弁護士費用特約とは、加害者に賠償金を請求するために必要な弁護士費用を保険会社が負担してくれる契約です。

負担金額は保険会社によって異なりますが、300万円程度が目安です。弁護士費用特約に入っていれば、規定の金額までの弁護士費用がかからないため、弁護士に依頼する前に加入している保険会社に確認してみましょう。

4.交通事故の裁判を起こすなら弁護士に相談する

交通事故の裁判は、個人でも起こすことができます。ただし、裁判で勝つためには、証拠集めなどの準備が必要になるため時間や手間の負担が大きくなります。また、裁判を進めるためには、法律の知識も必要になるため、有利な判決を得るには弁護士に依頼することをおすすめします。

新小岩法律事務所では、予約により平日20:00開始の無料相談も行っております。当事務所は新小岩駅南口徒歩1分の場所にありますので、小岩、新小岩、平井、亀戸、錦糸町など、総武線沿線の地域にお住まいの方は、仕事帰りにぜひご活用ください。当事務所では、上記の地域だけでなく市川、船橋や松戸の方からもご相談をいただいております。

また、土日の相談にも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。