公開日:2020.08.10 交通事故

交通事故の被害に遭った場合に請求できる逸失利益とは?

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交通事故により被害者が死亡した場合や、後遺障害(後遺症)が残った場合、以前と同じような収入を得ることができなくなります。そのため、本来であれば働いていてもらえていた収入と、交通事故後の収入の差額を逸失利益として加害者への請求が可能です。

ただし、逸失利益は、様々な条件によって金額が変動します。そのため、加害者へ請求する前に、どれくらいの金額が請求できるのかを確認しておきましょう。

1.逸失利益の種類

逸失利益の種類は、「死亡による逸失利益」「後遺障害による逸失利益」の大きく分けて2種類です。なお、どちらの場合も就労年齢の上限は原則67歳となっています。

(1)死亡による逸失利益

交通事故の被害によって、交通事故の被害者が死亡した場合、加害者へ死亡による逸失利益を請求できます。死亡による逸失利益は、被害者が交通事故によって死亡しなければ、生涯働いて得られた収入のことです。

死亡による逸失利益は、すでに労働による収入を得ている人だけでなく、専業主婦や学生や幼児など労働による収入が無い人であっても、加害者へ請求できます。

また、年金による収入も逸失利益として認められるため、年金を受給している人が、交通事故の被害によって死亡した場合、加害者へ死亡による逸失利益を請求できます。

(2)後遺障害による逸失利益

交通事故の被害によって、後遺障害(後遺症)が残った場合、加害者へ後遺障害による逸失利益を請求できます。後遺障害が残ると、交通事故が起こる前と同じように働くことが難しくなるため、本来得られていたはずの収入が減ってしまうことがあるからです。

後遺障害による逸失利益は、後遺障害の状態によって交通事故後に得られる収入の減少額が変わるため、加害者に請求できる金額に幅があります。

また、後遺障害による逸失利益は、交通事故の後遺障害が原因で収入が減少した人への賠償が目的です。そのため、後遺障害が残っても収入の変化がない人は、加害者へ後遺障害による逸失利益を請求することはできません。

2.逸失利益の計算方法

交通事故の加害者へ請求する逸失利益の金額は、「死亡による逸失利益」「後遺障害による逸失利益」のそれぞれの場合で、以下の計算式で求められます。

  • 死亡による逸失利益

基礎収入額×生活費控除率×中間利息控除係数

  • 後遺障害による逸失利益

基礎収入額×労働能力喪失率×中間利息控除係数

ただし、それぞれの計算式は、すでに働いており収入がある人の場合です。収入の無い学生や未成年者、専業主婦(主夫)は、逸失利益の計算方法がことなるので、詳細は後述します。

(1)基礎収入額

基礎収入額とは、交通事故の被害者が、被害に遭う前に得ていた収入額のことです。会社から給与をもらっている人(会社員)は、交通事故に遭う前年の賞与を含んだ年収額です。また、個人事業主の場合は、交通事故に遭う前年の所得額となります。

なお、個人事業主などで年収に幅がある人は、数年間の年収の平均額などが基準になる場合があります。

(2)生活控除率

生活控除率とは、交通事故で被害者が死亡していなければ、日常生活を送るうえでかかっていた生活費の割合です。基礎収入額を得るためには、生活費もかかることが考えられるため、逸失利益を計算する際、生活控除率として基礎収入額から差し引きます。

生活控除率は、被害者の状況に応じておおよそ以下の通りになります。

被害者の状況 生活控除率
一家の支柱であり被扶養者1人 40%
一家の支柱であり被扶養者2人 30%
一家の支柱ではない、または独身の女性 30%
一家の支柱ではない、または独身の男性 50%

(3)中間利息控除係数

中間利息とは、逸失利益を受け取った後に生じる利息の増額分のことを言います。逸失利益は、長期間に渡って得るはずだった収入相当の金額を一括で受け取りますが、仮にそのまま銀行に預けることで利息が発生します。

そうなると被害者は、逸失利益による利息によって逸失利益とは別の利益を得てしまうため、加害者から受け取った金額に対して、中間利息を控除する必要があります。

中間利息控除は、ライプニッツ係数によって計算されます。ライプニッツ係数は、被害者の年齢、就労可能年数を基に計算される数値です。ライプニッツ係数は、国土交通省の「就労可能年数とライプニッツ係数表」に一覧が記載されているので、計算する際に参考にしてください。

(4)労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、交通事故の被害による後遺障害で低下した労働力を数値にしたものです。労働能力喪失率は、後遺障害の程度によって認定される後遺障害等級が基準になります。

障害等級 労働能力喪失率
第1級 100/100
第2級 100/100
第3級 100/100
第4級 92/100
第5級 79/100
第6級 67/100
第7級 56/100
第8級 45/100
第9級 35/100
第10級 27/100
第11級 20/100
第12級 14/100
第13級 9/100
第14級 5/100

引用:国土交通省「労働能力喪失率表

たとえば、認定された後遺障害等級が第14級だった場合には、交通事故の後遺障害が原因で、労働能力喪失率が5%下がったと評価されます。また、第3級から第1級までは、労働能力喪失率が100%になります。等級数が上がるほど、就労に支障が出る場合が多いため、労働能力喪失率が高くなり、受け取れる逸失利益の金額も高くなる可能性があります。

3.収入が無い人が逸失利益を請求するための計算方法

交通事故の被害者が、収入の無い学生や未成年者、専業主婦(主夫)の場合は、以下の計算式で逸失利益を求めます。

  • 死亡による逸失利益

賃金センサス×生活費控除率×中間利息控除係数

  • 後遺障害による逸失利益

賃金センサス×労働能力喪失率×中間利息控除係数

賃金センサスとは、厚生労働省が実施している「賃金構造基本統計調査」のことを言います。これは、国が行っている産業や都道府県、雇用形態などの賃金に関する調査です。

専業主婦(主夫)など収入が無い人の場合は、基礎収入額が0円になってしまうため、逸失利益も0円になります。しかし、交通事故の被害に遭った時点では収入がなくても、将来仕事に就く可能性もあります。そのような場合に、もし、将来働いていたら、どれくらいの収入が得られたかを確認するために賃金センサスを基準に基礎収入額を決定することがあります。

また、未成年や学生の場合も収入がないため、基礎収入額は賃金センサスを基準に決められます。

なお、パートと主婦(主夫)を兼業している場合には、パートによる収入と賃金センサスを比較したときに、高い方の金額が適用されます。合算して基礎収入額にすることは認められていません。

(1)被害者の年齢が67歳を越える場合の逸失利益の計算方法

逸失利益は、交通事故に遭ってから67歳までの就労可能年数を基に計算されます。しかし、67歳以上の人が交通事故の被害に遭った時は、就労可能年数が残っていないため、中間利息控除係数を当てはめることができません。そのため、67歳以上の人が逸失利益を計算する場合は、厚生労働省の「簡易生命表の概況」の簡易生命表に記載されている平均余命の2分の1の期間が労働能力喪失期間なります。

4.逸失利益を請求する場合は弁護士に相談する

逸失利益は、交通事故の加害者に請求できる賠償金の中で大きな割合を占めます。そのため、適切な金額を加害者に請求することで、交通事故の影響で収入が減ってしまった場合でも、それに見合った金額を受け取ることができます。

しかし、逸失利益を受け取るには、加害者側の保険会社と交渉して、相手が納得しなければ受け取ることができません。そのため、交渉結果によっては、希望の逸失利益が受け取れない場合もあります。希望の逸失利益を加害者から受け取りたいなら、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士に交渉を依頼すれば、逸失利益の算出をして、加害者側の保険会社との交渉も行うため、希望の賠償金を受け取りやすくなります。

弁護士に依頼した場合の費用が不安な人は、無料相談を利用してみましょう。無料相談を利用すれば費用をかけずに、弁護士に相談することができます。

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