2020.06.28 | 交通事故
交通事故の後遺障害(後遺症)に対して請求できる慰謝料について

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交通事故の被害に遭うと、後に後遺障害(後遺症)に悩まされることも少なくありません。後遺障害によって交通事故に遭う前と同じ生活が送れなくなった場合、治療費とは別に慰謝料や逸失利益を加害者に請求できます。
今回は、交通事故が原因で後遺障害が残った場合に加害者へ請求できる「慰謝料」について解説していきます。
後遺障害によって加害者へ請求できる慰謝料は、請求方法によって金額が変わるため、どのような方法で慰謝料を請求すれば金額が多くなるのか確認しておきましょう。
目次
1.後遺障害等級によって請求できる慰謝料の金額が変わる
交通事故が原因で後遺障害が残った場合、後遺障害等級に応じた慰謝料を加害者に請求できます。後遺障害等級とは、後遺障害の症状によって認定される等級です。1級から14級まで分かれていて、最も重い後遺障害だと1級が認定されます。
たとえば、交通事故が原因の後遺障害で「むちうち症」になった場合、症状によって14級か12級に認定されることがあります。また、交通事故により両目を失明した場合などでは、1級に認定されることがあります。
後遺障害等級が認定されるのは、医師が、「治療をこれ以上続けても症状が良くならない状態」だと判断する「症状固定」の診断を受けた後です。症状固定の診断を受けた後は、後遺障害等級の認定を受けるための手続きがありますが、加害者側の保険会社が行ってくれる“事前認定”手続と、被害者が自分で行う“被害者請求”手続の2種類の方法があります。
後遺障害等級が認定されると、等級をもとに加害者側の保険会社と慰謝料の示談交渉が始まります。保険会社との示談交渉は、個人でも行うことができますが、弁護士に依頼することでより多くの慰謝料をもらえる可能性があります。
なお、弁護士に依頼するには、費用がかかりますが、契約している任意保険に弁護士費用特約が付帯されていれば、負担を軽減できるので契約内容を確認してみてください。
後遺障害等級は、同じ等級の中でも症状によって分けられているため、等級の目安は、国土交通省のサイトをご参考にしてください。
2.加害者に請求できる慰謝料の金額には3つの基準がある
後遺障害等級に応じて加害者に請求できる慰謝料には、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「裁判基準」と3つの基準が設けられており、それぞれ金額が異なります。
【後遺障害等級ごとに請求できる慰謝料の比較】
等級 | 自賠責保険基準 | 任意保険基準 | 裁判基準(弁護士基準) |
---|---|---|---|
1級 | 1,150万円 | 保険会社によって異なる | 2,800万 |
2級 | 998万円 | 2,370万 | |
3級 | 861万円 | 1,990万 | |
4級 | 737万円 | 1,670万 | |
5級 | 618万円 | 1,400万 | |
6級 | 512万円 | 1,180万 | |
7級 | 419万円 | 1,000万 | |
8級 | 331万円 | 830万 | |
9級 | 249万円 | 690万 | |
10級 | 190万円 | 550万 | |
11級 | 136万円 | 420万 | |
12級 | 94万円 | 290万 | |
13級 | 57万円 | 180万 | |
14級 | 32万円 | 110万 |
引用元:民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準2020年版
※自賠責基準は令和2年4月1日以降の事故に適用されるものを記載しています。
自賠責保険基準以外は、保険会社や依頼する弁護士によって異なるため、金額は目安です。ただし、いずれの等級に認定された場合でも、裁判基準で請求したほうがもらえる慰謝料が高くなるケースが多いです。
そのため、交通事故の加害者に後遺障害の慰謝料を請求するなら、「裁判基準」を適用することで、多くの慰謝料を受け取れる可能性があります。
(1)自賠責保険基準
自賠責保険基準は、加害者が加入している自賠責保険から支払われる慰謝料の基準です。後遺障害に対する慰謝料は、まず加害者の自賠責保険から基準に応じた金額が支払われます。自賠責保険基準は、法律で定められているため、後遺障害等級に応じた慰謝料が変動することはありません。
ただし、自賠責保険基準は、3つの基準の中で一番低い金額が定められているため、自賠責保険だけでは後遺障害の慰謝料をすべてまかなえない場合が多いです。
そのため、加害者に請求する慰謝料の金額が自賠責保険基準を超える場合は、加害者が加入している任意保険から支払われます。
なお、交通事故の加害者が任意保険に加入していなかった場合は、自賠責保険基準を超えた分の慰謝料を加害者に直接請求します。
(2)任意保険基準
後遺障害の慰謝料が自賠責保険基準を超えた場合に適用されるのが任意保険基準です。
任意保険基準が適用されると、自賠責保険基準を超えた分の慰謝料が支払われるため、自賠責保険基準よりも多くの慰謝料をもらうことができます。ただし、任意保険基準は、保険会社によって異なり、さらに外部には公開していないため、明確な基準を知ることはできません。
また、保険会社は営利を目的とした企業なので、示談交渉の際、慰謝料の支払いをなるべく抑えようとしてきます。そのため、任意保険基準でもられる慰謝料の金額は、自賠責保険基準より増えることが多いですが、希望額よりも少なくなってしまうことがあります。
(3)裁判基準
裁判基準は、過去に行われた交通事故に関する裁判の裁判例をもとに設定された基準です。弁護士が加害者に慰謝料を請求するときにも裁判基準をもとにするため、弁護士基準と呼ばれることもあります。裁判基準は、3つの基準の中で金額が最も高く、かつ過去の裁判例に基づいているため信頼性のある基準です。
そのため、加害者側の保険会社から提示された慰謝料が、「自賠責保険基準」に近い「任意保険基準」であっても、「裁判基準」で示談交渉すれば、さらに多くの慰謝料がもらえる可能性があります。
ただし、裁判基準は、あくまで保険会社との示談交渉をするための基準なので、後遺障害等級によって決まった慰謝料が必ずもらえるわけではありません。示談交渉によっては、慰謝料が変動することがあります。
また、裁判基準で加害者側の保険会社と示談交渉をするためには、法律の知識が必要になります。そのため、個人で交渉しても希望の慰謝料をもらえないおそれがあるため、裁判所基準の慰謝料をもらうなら弁護士に依頼しましょう。
3.示談成立後に後遺障害が悪化したときの対策をしておく
交通事故の後遺障害は、時間が経過した後に悪化することや、新たな症状がでてくることがあります。ただし、一度示談が成立してしまうと、加害者に改めて慰謝料を請求するのは容易ではありません。そのため、示談の際、後遺障害の悪化や新たに後遺障害が認定された場合には、改めて協議するなどの条件を取り決めておくなどの対策が必要です。
4.慰謝料を加害者に請求できる期限
交通事故の後遺障害に対する慰謝料は、請求できる期限が決まっています。慰謝料の請求期限は、令和2年4月1日以降では、物損事故3年、人身事故の場合は5年です。また、令和2年3月31日以前の事故では、物損事故、人身事故とも3年が期限です。
請求期限が過ぎてしまうと時効が完成するため、慰謝料を請求することができなくなります。ただし、時効を気にしすぎてしまうと、示談の成立を焦ってしまい、加害者側に有利な条件で示談を成立させられてしまうおそれがあります。
そのため、示談交渉を時効が完成する前に、なるべく有利な条件で成立させたいなら弁護士に依頼することをおすすめします。
5.後遺障害の慰謝料請求は弁護士に相談する
後遺障害に対する慰謝料を加害者へ請求する場合は、弁護士に依頼することで金額がさらに上がる可能性があります。そのため、後遺障害が認定された場合は、加害者側の保険会社と個人で示談交渉をせず弁護士に依頼しましょう。
弁護士に依頼するのは、交通事故に遭ってからなるべく早いタイミングが良いですが、費用や手続きなどに不安がある人は、まずは無料相談を利用することをおすすめします。
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