公開日:2020.04.20 最終更新日:2020.05.15 法律コラム

持続化給付金の支給対象と申請方法について

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2020年4月7日に閣議決定された、新型コロナ感染症に関する緊急経済対策のひとつに、持続化給付金が盛り込まれました。持続化給付金を利用すれば、売上の減少した事業を継続するために役立てることができます。

ここでは、経済産業省が発表した「持続化給付金に関するお知らせ」のパンフレットと、経済産業省の公式サイト「持続化給付金に関するよくあるお問合わせ」の情報をもとに、持続化給付金の支給対象や申請方法についてお伝えします。まだ、詳細が決まっていない部分もあるため、2020年4月20日時点での情報になります。

参考

1.持続化給付金とは

持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響で、売り上げが減少した企業や個人事業主に対して支給される給付金です。事業全般に関することであれば、給付後の使い道に制限はないため、幅広い目的で利用できます。また、給付金となっているため、支給後に返済する必要はありません。

そのため、緊急事態宣言による外出自粛や、営業自粛の影響で事業継続が困難になった場合、持続化給付金を利用することで、従業員の解雇や会社の倒産などのリスクを減らすことができます。

(1)持続化給付金の支給対象

持続化給付金の支給対象は、中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主となっています。資本金が10億円以上ある大企業は支給対象外です。さらに、詳細は決定後になりますが、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人などの会社以外の法人についても対象になるため、幅広い業種で支給対象になる可能性があります。

ただし、持続化給付金が支給されるのは、2020年1月から12月の期間で、前年同月の売上げが50%以上減少している月が1か月でもある事業者が対象です。新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減っていたとしても、前年と比べて半減していなければ持続化給付金の対象になりません。

(2)持続化給付金の給付額

持続化給付金で支給される金額の上限は、法人で200万円、個人事業主で100万円です。事業の売上減少額がどれだけ多くても、上限金額以上の給付額はもらえません。

持続化給付金の給付額は、以下の計算方法で算出できます。

【売上減少分の計算方法】

前年の総売上(事業収入)―(前年同月比マイナス50%月の売上げ×12か月)

たとえば、個人事業主として行っている事業の売上げが、2019年では毎月100万円、年間1,200万円あったのが、新型コロナウイルスの影響で売上げが減少し、2020年4月の売上げが60万円になった場合、次のように計算します。

1,200万円―(60万円×12か月)=480万円

計算すると、2019年と比較して480万円の売上減少額があるため、持続化給付金の上限100万円が支給される可能性があります。

ただし、売上減少額が、持続給付金の上限金額以下だった場合、受け取れるのは減少した金額分だけです。個人事業主で行っている事業の売上減少額が60万円だった場合、持続給付金の支給額は60万円です。持続化給付金を申請すれば上限金額が必ずもらえるわけではありません。

なお、前年と比較するのは、事業の売上額です。経費などを差し引いた所得額ではないので、前年度が赤字申告であっても、売上額が-50%以上であれば持続化給付金の対象月に含まれます。

(3)対象月は事業者が選べる

2020年1月から2020年12月のうち、2019年の同月比で売上が50%以上減少した月が複数月あった場合、どの月の売上を使って持続化給付金を計算するかは、事業者が選択できます。
たとえば、2019年と2020年の1月から5月までの売上比較が下記表の場合、4月と5月が持続給付金の計算ができる対象となる月です。

【持続化給付金の支給対象になる前年の売上比較】単位:万円

1月 2月 3月 4月 5月
2019年 100 130 180 250 200
2020年 130 100 108 125 70
前年比 30% -23% -40% -50% -65%

表を確認すると、4月よりも5月の方が、売上げの減少した割合が大きいです。そのため、5月の売上比較を選択して計算すれば、より持続化給付金の上限に近い金額が支給される可能性があります。

なお、2019年に創業したばかりで、前年同月の比較ができない事業者に合った対応も引き続き検討しているそうなので、今後の発表を確認しましょう。

2.申請方法

持続化給付金の申請方法は、「Web上での申請を基本とする」という情報がでています。Web上での申請とは、窓口などで人と対面するのではなく、インターネットを使って自宅などから申請するということです。これは、新型コロナウイルス感染症に対する配慮と、給付金の迅速な支給をするための対策と考えられます。

持続化給付金は、インターネットにつながったパソコンなどを操作して申請しますが、必要に応じて必要情報の入力当の申請支援を行う窓口を順次設置するとのことです。

窓口は、新型コロナウイルス感染症の対策を講じた上で設置されます。さらに、完全予約性で窓口に人が集中しないため、安心して利用できる可能性が高いです。そのため、Web上での申請に不安がある人は、専用窓口の利用も検討しておきましょう。

ただし、専用窓口は、受付開始後、予約が殺到することが予想されます。そのため、急ぎで給付金が欲しい場合は、なるべくご自身で申請を行うか、感染症の対策をしっかりとしたうえで、操作に詳しい人に相談しましょう。

なお、持続化給付金は、申請時期と予算額に余裕をもって確保するとパンフレットに記載されています。そのため、受付が始まったらすぐに申請をしないと、予算が無くなり支給されないという可能性は低いと考えられます。

(1)申請時期

持続化給付金の申請は、補正予算の成立後、1週間程度で申請受付が開始されます。インターネット上での申請が基本なので、持続化給付金の申請専用のホームページが立ち上がることが予想されます。

また、インターネットで持続化給付金の申請行った場合、申請後、2週間程度で申請者の銀行口座に振り込みで給付することが想定されています。

詳しい情報については、2020年4月の最終週を目途に確定し、公表される予定です。

(2)申請に必要な書類

持続化給付金の申請には以下の書類が必要になります。あらかじめ準備しておき、申請を円滑に行えるようにしましょう。

■法人

  1. 法人番号
  2. 2019年の確定申告書類の控え
  3. 2020年1月から12月の中で売上が減少した月の帳簿等

■個人事業主

  1. 本人確認書類
  2. 2019年の確定申告の控え
  3. 2020年1月から12月の中で売上が減少した月の帳簿等

法人番号が不明な場合は、国税庁のサイトで会社名を検索すると確認できます。

3の「2020年1月から12月の中で売上が減少した月の帳簿等」については内訳が分かれば様式の定めはありません。しかし、提出書類に不備があると、給付までの期間が延びてしまうおそれがあるため、なるべく公的な様式で申請するようにしましょう。

また、法人や個人事業主に関係なく、住所確認と口座番号を確認するための通帳の写しが必要です。通帳の写しは、法人では法人名義、個人事業主は個人名義のものを用意しておきましょう。

(3)GビズIDの取得は不要

持続給付金の申請には、GビズIDは不要なので、準備する必要はありません。GビズIDとは、補助金申請システムのjGrants(Jグランツ)を利用する際に必要な情報です。助成金や補助金を申請する場合、jGrantsを利用する場合が多いのですが、持続化給付金では不要なので、GビズID発行のための書類を入手するための外出は不要です。

3.まとめ

今回ご紹介した、持続化給付金の他にも、新型コロナウイルスの影響による助成金や補助金、貸付制度なども複数用意されています。利用できる制度は業種によっても異なるため、どの制度を利用したらいいのか分からないという場合は、新小岩法律事務所に一度ご相談ください。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、大変な状況が続いていますが、様々な制度を活用して乗り越えていきましょう。