2020.02.01 法律コラム

悪意の遺棄が認められるのに必要な条件とは?

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民法第770条で定められている法定離婚事由のひとつに悪意の遺棄があります。離婚の原因が配偶者の悪意の遺棄と判断された場合、配偶者の有責となるため、離婚が成立した際に慰謝料を請求できます。

しかし、悪意の遺棄とは具体的にどのような状況をいうのでしょうか。

ここでは、悪意の遺棄の意味と悪意の遺棄と判断される状況について説明します。

1.悪意の遺棄とは

悪意の遺棄とは、民法第752条で定められている夫婦の義務に違反した行為のことです。民法第752条には、夫婦の義務として下記のように定められています。

第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
引用元:e-Gov

つまり、婚姻中の夫婦は、同居、扶助、協力の3つの義務を守らなければならず、もし、3つのうちのひとつでも怠れば、悪意の遺棄と判断されることがあります。それぞれの義務についての説明は下記の通りです。

(1)同居義務

婚姻中の夫婦は、一緒に住む同居義務が法律で定められています。病気の療養や単身赴任など、やむをえない場合や合意をしている場合を除き、別居などで離れて暮らすことは法律違反になります。

(2)扶助義務

婚姻中の夫婦は、どちらか一方に扶助が必要になったら、もう一方が助けてあげなければいけない扶助義務が法律で定められています。配偶者が経済的に困っているのに援助をしない場合には、法律違反になります。

(3)協力義務

婚姻中の夫婦は、力を合わせて支え合い、生活を営んでいくという協力義務が法律で定められています。配偶者に生活の責任を全て押し付けたり、配偶者に一切手を貸さなかったりすれば、法律違反になります。

義務の範囲がどこまでなのかは、夫婦によって状況が違うため判断が難しいところです。しかし、配偶者が夫婦の義務を守っていないと感じていれば、悪意の遺棄につながることがあります。

2.具体的な状況

では、具体的にどのような状況が起きると悪意の遺棄と判断されるのでしょうか。代表的な例を確認しておきましょう。

(1)喧嘩をして別居

夫婦喧嘩をした後に配偶者が家を飛び出し、そのまま別居した場合には、同居義務に違反になってしまいます。また、配偶者の別居先が実家であっても、夫婦の合意がなければ悪意の遺棄に該当することがあります。

ただし、別居した理由が、配偶者からのドメスティック・バイオレンス(DV)や子供の虐待などから守るためであれば、正当な理由があると判断されるため、悪意の遺棄とならない可能性が高いです。

(2)不倫相手の家に行き家に帰らない

夫婦が一緒に暮らしていなければ同居義務の違反です。そのため、配偶者の別居先が不倫相手の家であっても、同居義務の違反になるため悪意の遺棄に該当します。

(3)生活費を渡さない

配偶者が収入を家計に入れないことが原因で、生活に困窮した状態になった場合、扶助義務の違反になるため、悪意の遺棄になります。

たとえば、夫が会社員で妻が専業主婦の夫婦の場合、夫が収入を家計に入れなければ、専業主婦の妻は生活ができません。また、妻に収入があった場合でも、夫の収入がなければ生活に困窮してしまう状態であれば、扶助義務に違反しているため、悪意の遺棄となります。

ただし、夫婦の間で、収入を家計に入れなくてもいいという合意がされていれば、生活費を渡していなくても悪意の遺棄にはなりません。

(4)家から追い出された

正当な理由がないのに、配偶者に家から追い出されたり、鍵を閉められて家に入れてもらえなかったりすると、同居義務の違反になるため悪意の遺棄に該当します。

(5)働かない

病気や怪我などがない健康体であるにも関わらず、仕事をしないで収入を得ない場合、協力義務に違反しているため、悪意の遺棄に該当することがあります。

専業主婦(主夫)で家事や育児を行っている場合、夫婦の合意があれば、収入が無くても悪意の遺棄には該当しません。

ただし、専業主婦(主夫)である場合、家事を放棄すると悪意の遺棄に該当することがあります。

3.悪意の遺棄と判断されるための期間

悪意の遺棄が認められるのは、義務違反をしていた期間よりも、義務違反をした意思が重視されることが多いです。そのため、仮に夫婦の合意のない別居期間が1か月だったとしても、正当な理由がないのに家を飛び出して別居しようとした意思が配偶者にあれば、悪意の遺棄と認められることがあります。

4.悪意の遺棄があったことを証明するための証拠

離婚の原因が悪意の遺棄であったことを口頭で証明するのは簡単ではありません。そのため、悪意の遺棄が認められて離婚を成立させるには、事実を証明するための証拠が必要になります。証拠があれば、離婚の合意を得られる確率が高くなります。また、離婚裁判でも有利になるため多すぎても困ることはありません。

悪意の遺棄があったことを証明するために、下記のものを証拠として準備しておきましょう。

(1)メモ

悪意の遺棄に該当する配偶者の行動をメモや日記に残しておくことで、証拠になる場合があります。

(2)メールやSNSの履歴

メールやSNSの履歴は、悪意の遺棄を証明するための重要な証拠になるため、残しておきましょう。スマートフォンの紛失や機種変更をするとデータが消失するおそれもあるため、バックアップを取っておくと安心です。

(3)通話記録

メールやSNSの履歴だけでなく、悪意の遺棄が証明できる通話の録音データを残しておくと証拠になります。録音が難しい場合、着信や発信の履歴だけでも残しておくことで、他の証拠と組み合わせることで悪意の遺棄があったことを証明する証拠になるので残しておきましょう。

(4)通帳残高のコピー

生活費を入れられていなかったことを証明するための証拠として、通帳残高のコピーを残しておきましょう。また、別居先の家賃などを振り込んでいる明細がわかる通帳のコピーがあれば、別居期間を証明するための証拠になります。

(5)賃貸契約書

配偶者が別居先で賃貸マンションやアパートを契約していた場合、賃貸契約書のコピーを準備しておけば、別居がいつから始まったかが分かるため、悪意の遺棄の証拠となります。

悪意の遺棄があったことを証明するための証拠は、夫婦によって集められるものが違います。そのため、何が証拠になるのかをはっきり知りたい人は、事前に弁護士に相談しましょう。弁護士に相談することで、悪意の遺棄を証明するためにどのような証拠を準備すればよいのかアドバイスを受けることができます。

5.まとめ

悪意の遺棄は、法律で定められた離婚理由のため、照明することができれば離婚の成立だけでなく、配偶者の有責になるため慰謝料を請求できます。

ただし、悪意の遺棄は、証拠がなければ証明することが難しいため、しっかりとした準備が必要です。証拠をそろえることで、配偶者の合意が得やすくなったり、離婚調停や離婚裁判を有利に行えたりします。

悪意の遺棄の証拠集めや離婚調停や離婚裁判をどうやったらいいのか分からないという人は、早めに弁護士に依頼しましょう。

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