2019.12.09 法律コラム

婚姻中にできた借金は夫婦が離婚したらどちらが返済するのか?

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離婚を考えているけれどなかなか踏み切れない、という人の悩みの一つに夫婦が抱えている借金があります。夫婦に借金がある場合、離婚した後に返済の負担が来ると思うと不安ですよね。

しかし、実のところ、夫婦の借金は離婚した後でも、名義人でなければ返済義務が生じることがありません。また、離婚する際、名義人に借金を押し付けられることもありません。

ここでは、離婚する際の夫婦の借金について解説します。

1.離婚するときの夫婦の借金は名義人が返済する

借金を抱える夫婦が離婚をする場合、借金の返済義務は名義人に生じます。名義人でない夫婦の一方が借金を肩代わりすることや、借金の一部を負担することはありません。

また、夫婦が離婚する際、有している財産を分け合うために財産分与を行いますが、仮に借金しか残らなかった場合、名義人が名義人でない夫婦の一方に財産分与を請求して、借金を負担させることは基本的に認められていません。

そのため、離婚するときの夫婦の借金は、名義人以外に返済義務が生じることはないのです。ただし、離婚するときに夫婦の借金は、共有財産と特有財産に分けられますが、財産分与のときに混同されてしまうと、受け取れる金額が減ってしまうことがあるので、確認しておきましょう。

(1)共有財産

共有財産は、婚姻中に夫婦が共同で形成した財産のことをいいます。共有財産には主に下記のものが含まれます。

  1. 不動産(マイホームや投資用のマンションなど)
  2. 車(自家用車)
  3. 預貯金
  4. 家具・家電
  5. 退職金
  6. 保険料(生命保険など)
  7. 借金(生活のために借りたお金)

共有財産に含まれる借金は、生活費が不足した際に借りたお金だけでなく、マイホームやマンションなどの不動産や車を購入するために借りたローンの残債も含まれます。また、子供の教育ローンの残債も共有財産です。

共有財産は財産分与の対象になっているため、離婚の際に夫婦で分け合います。共有財産が財産分与の対象になっているのは、婚姻費用の分担として民法760条で下記のように定められているからです。

【民法760条】
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。(日常の家事に関する債務の連帯責任)

つまり、婚姻中の共有財産は、夫婦が共同生活をする上で互いに必要なものなので、財産だけでなく購入するための借金も、名義人に関係なく離婚するときには分け合う必要があるのです。

(2)特有財産

特有財産は、財産分与の対象外になっている財産になり、民法762条によって下記のように定められています。

【民法第762条】
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。

つまり、結婚前から有していた借金は、婚姻中の共同生活に関係ないので財産分与の対象外になります。また、婚姻中であっても自分都合の借金は特有財産になるため、ギャンブルや趣味などでつくった借金は、財産分与に含まれません。

2.財産分与で受け取れる金額

共有財産を財産分与する場合、不動産や車など価値のある財産から借金を差し引き、残った金額を夫婦で分け合います。財産分与の割合は基本的に折半です。

たとえば、離婚する夫婦の共有財産が、1,000万円の価値がある不動産と夫名義の住宅ローン500万円だった場合、夫婦がそれぞれ受け取る金額は下記のようになります。

1,000万円(不動産)-500万円(住宅ローン)=500万円

500万円÷2人(夫婦で折半)=250万円(1人あたりの受取額)

借金を差し引いた金額で分け合うのは、不平等さを減らすためです。仮に、1,000万円を夫婦で分け合ってから借金を差し引くと、妻が受け取る金額が500万円なのに対し、夫は0円になってしまいます。借金の名義人になっている人は、受け取る金額が少なくなってしまうため、財産分与では、借金を差し引いた金額を夫婦で分け合うのです。

ただし、マイホームなどの不動産は、離婚後も夫婦のどちらか一方が住み続けることがあり、売却や譲渡するのが難しいことがあります。そのため、財産分与では、住み続ける方が相手に毎月一定の金額を支払うなどの条件を決めておくことが大切です。

(1)財産分与では特有財産と共有財産を混同させない

財産分与の際、特有財産を共有財産と混同されると、受け取れる金額が少なくなります。婚姻中に相手がギャンブルでつくった借金を、生活費のために使ったと主張されると、共有財産に含まれてしまい財産分与で清算されることがあるからです。

ただし、特有財産を共有財産として使った場合は、清算できる場合があります。たとえば、結婚前に貯めた貯金を切り崩して生活費などに使った場合は、相手が合意すれば共有財産に含まれるため清算できます。

どちらにしても、財産分与は複雑で法律の知識も必要になるため、夫婦間でまとまらない場合は、弁護士に依頼しましょう。弁護士が相手との交渉を代わりに行うことで、早く解決するだけでなく、財産分与を有利な条件で進められる可能性があります。

3.離婚成立後に相手が借金の支払いができなくなったときの対策

離婚が成立し、財産分与が終わったあとに相手の経済状況が悪化するなどの原因で借金の返済が困難になった場合、借金の返済義務が生じてしまうことがあります。しかし、事前に対策をしておけば、そのようなリスクを抑えることができます。

(1)連帯保証人になっていると返済義務が生じる

夫婦の一方が特有財産に含まれる借金の名義人であり、もう一方の夫婦が借金の連帯保証人になっている場合、離婚後に名義人が返済トラブルを起こすと、特有財産に含まれる借金であっても、連帯保証人に返済義務が生じます。離婚をして夫婦関係を解消しても、連帯保証人から外れるわけではないからです。連帯保証人から外れたい場合は、新しい連帯保証人を見つけて差し替えを行う、借金を別の金融機関で借り換えてた際に連帯保証人を換えるなどの対策が必要です。

(2)相手が死亡したときは子供が借金の法定相続人になる

離婚後に相手が借金を残したまま死亡した場合、子供に借金の相続が行くおそれがあります。夫婦関係は離婚することで解消されますが、子供は血縁関係があるため、法的な親子関係は解消されないからです。そのため、子供は借金の法定相続人になるので、法定相続分の金額を相続します。ただし、家庭裁判所で借金の相続放棄の手続きをすることで、返済する義務は生じません。

4.まとめ

夫婦が離婚する際の借金は、名義人でなければ返済義務は生じません。ただし、財産分与の際、夫婦間の財産を把握していない場合や、夫婦間の話し合いで相手の要求を受けてしまったことで、受け取る金額が少なくなってしまうおそれもあります。もし、離婚後の夫婦間の借金や財産分与について相談ができずに悩んでいるという人は、新小岩法律事務所へご相談ください。

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