公開日:2019.01.07 最終更新日:2021.07.20 債務整理

住宅ローンを返済できないとどうなるのか?

お困りの方は、お気軽にご相談ください。

03-5879-6703
電話受付時間 9:00〜18:00

一生で一番高い買い物と言われているマイホーム。
購入するときには25年~35年と長期の住宅ローンを組むことが一般的ですが、様々な事情で住宅ローンが払えなくなることも考えられます。もし、住宅ローンが払えなくなったらどうなるのでしょうか。その過程と対策をご紹介します。

1.住宅ローンが返済できなくなるとどうなるのか?

住宅ローン滞納すると、下記の順番で物事が進んでいきます。

  1. 滞納から数日後に債権者から電話連絡がくる
  2. 滞納から1~2か月経過すると債権者から督促状が届く
  3. 滞納から6ヶ月以上経過すると残債務が一括請求される
  4. 代位弁済が行われる
  5. マイホームが競売売却される

住宅ローンを滞納し続けると、最終的にマイホームが売却されて強制退去となります。これは、住宅ローンを借り入れた金融機関が、マイホームの抵当権を持っているためです。
抵当権が設定されていると、住宅ローンの返済ができない場合に土地や建物が差し押さえられてしまいます。

ただし、マイホームを差し押さえられるのは、滞納から一度も返済せずに6か月ほど経過した場合です。それまでにきちんと対応すれば、通常通り住宅ローンの返済をしながらマイホームに住むことができます。

(1)滞納から数日後に債権者から電話連絡がくる

住宅ローンの返済日に引き落としがされないと、引き落とし日から数日後に債権者から電話連絡が来ます。電話の内容は、住宅ローンの引き落としができなかったこと、そして再引き落とし日の連絡です。

電話連絡が来た後は、再引き落とし日までに返済金額を銀行口座に用意できれば、住宅ローンに影響を与えることはありません。返済後は、住宅ローンの返済が通常通り続きます。

ただし、住宅ローンの返済が1日でも遅れた場合、「遅延損害金」が発生するおそれがあります。遅延損害金が発生すると、毎月の返済額よりも多く用意する必要があるため、債権者に確認しておきましょう。

(2)滞納から1~2か月経過すると債権者から督促状が届く

住宅ローンの返済を滞納して1~2か月が経過すると、債権者から督促状が届きます
督促状には、住宅ローンの返済をしてほしいという文章と、未納になっている住宅ローンの合計金額と支払い期日が記載されています。

法的手段や抵当権の実行など、強い文言を使った文章になっていますが、督促状に記載されている期日までに返済できれば、引き続き契約通りの条件で住宅ローンを返済することができます。

また、督促状が来ても住宅ローンの返済を滞納し続けると、催告書が届きます。催告書とは、債権者が法的手続きを行う前に送付する書類です。債権者からの最後通知になるため、この通知が届いた時点で滞納金を返済できなければ、住宅ローンを返済できないと判断されてしまいます。

(3)滞納から6ヶ月以上経過すると残債務が一括請求される

住宅ローンの滞納が6ヶ月以上続くと、「期限の利益の喪失」という通知が債権者から届きます。「期限の利益の喪失」とは、簡単に言うと、住宅ローンの分割返済が認められなくなることです。

住宅ローンを契約するときは、債権を一定期間で分割して返済する「期限の利益」を約束します。しかし、住宅ローンの返済を滞納し続けると、債権者は約束を守られなかったと判断するため、期限の利益を喪失するのです。

期限の利益の喪失が届くと、債権者は住宅ローンの残債務を一括で請求してくるため、マイホームに住み続けるなら返済に応じる以外に方法がありません。

(4)期限の利益を喪失した後は代位弁済が行われる

期限の利益を喪失し、さらに住宅ローンの残債務を一括で支払えなかった場合、代位弁済が行われます。代位弁済とは、住宅ローンの残債務を保証会社が債務者の代わりに債権者へ返済することをいいます。

住宅ローンを滞納し、期限の利益を喪失すると、金融機関は債務者には返済能力がないと判断し、保証会社に住宅ローンの残債務の返済を求め、保証会社はこれに応じて支払います。

代位弁済が行われた後は、債権者が保証会社に変わるため、保証会社から債務者に債務の返済を求める返還請求がされます

(5)マイホームが競売売却される

保証会社に住宅ローンの残債務を返済できない場合、マイホームは「不動産競売」にかけられ強制的に売却されます

不動産競売は、債権回収のために裁判所の管理の下、強制的にマイホームを売却するための仕組みです。そのため、市場価格よりも低い価格で売却されることが多く、売却後でも多額の残債務が残ってしまうこともあります。

さらに、買い手が見つかれば、直ぐにマイホームから立ち退きをしなくてはいけません。そのまま居続ければ、不法占拠者になり、強制退去を命じられてしまいます。

マイホームの売却によって得たお金は、全て残債務の返済で回収されてしまうため、引っ越し費用や、移転先の住居費などは一切手元に残りません。

2.住宅ローンが返済できなくなったときの対策

生活環境や収入の変化により住宅ローンの返済が困難な場合、早めに対策をすることで返済の負担を減らすことができます。住宅ローンを滞納してからでなく、滞納をする前に行動するようにしましょう。

(1)債権者に相談して返済方法を変更する

住宅ローンの返済が困難になったら、最初にすべきことは債権者への相談です

債権者に相談することで、住宅ローンの返済スケジュールを調整してもらえる可能性があります。返済スケジュールの調整が認められると、一定期間の住宅ローンの返済期間や、金利を減額してもらえるため返済の負担を一時的に減らすことができます。

調整分は将来的に返済する必要がありますが、一時的にでも返済額が減ることで生活基盤を立て直す時間を作ることが可能です。

ただし、住宅ローンの調整には、審査があるため金融機関に相談すれば必ずできるわけではありません。住宅ローンを滞納していると審査で不利になるため、早めに債権者へ相談しましょう

(2)住宅ローン以外の借金を債務整理する

住宅ローン以外にも借り入れがあり、そちらの返済が負担となり住宅ローンの返済ができない人は、個人再生を検討しましょう。個人再生は、借金の返済が困難になった場合に、裁判所を通じて返済額を大幅に減額してもらえる債務整理です。

個人再生は、全て平等に債務整理の対象になるので、通常は債権者を選択することはできません。しかし、住宅ローンは、住宅資金特別条項を利用することで、個人再生の対象外にすることができるのです。

住宅ローン以外の借金を減額できれば、住宅ローンの返済に集中する環境を作ることができます。

ただし、個人再生をすることで、信用情報機関に事故情報として登録されます
いわゆるブラックリストに載ることになり、個人再生後5~10年程は新たにローンを組むことや、クレジットカードを作ることができなくなります。

また、個人再生を利用するには、安定した収入があることが前提となります。収入が無い人は個人再生を利用できないので注意しましょう。

(3)マイホームを任意売却する

病気やケガなどで長期的に働くことができず、安定した収入がしばらく見込めない場合や、転職や会社の経営悪化で給料が大幅にダウンし、回復が見込めない場合は、マイホームの任意売却を検討しましょう

任意売却とは、抵当権を持っている債権者の許可を得て、仲介不動産業者に依頼をし、マイホームの買主を探して売却する仕組みです。

本来マイホームを売却するには、債権者に残債務を全て支払い、抵当権を解除しなければいけません。ですが、任意売却では残債務が残っていても売却することができ、そのお金を返済に充てることができるのです

任意売却は、市場価格で買主を探せるので、競売よりも高値で売却でき、残債務を減らすことができます。さらに、競売のようにインターネットなどで広告されないので、周辺の人や知人に知られる可能性が低いです。

また、任意売却では、債務者と買主で明け渡しの時期などを調整することができるので、ある程度の融通が利きます。

ただし、任意売却ができる期間は、競売の期間入札が開始される前日までとなっています。そのため、住宅ローンが払えないと分かったら、すぐにでも任意売却に向けて動き出すことが大切です。

なお、任意売却したあとに残った住宅ローンは返済義務が残るため、完済するまで返済を続けなければいけません。もし、残った住宅ローンの返済ができない場合は、自己破産をして住宅ローンを消滅させる方法や、個人再生をして返済額を減額する必要があります。

3.リースバックを利用すればマイホームに住み続けられる

マイホームの売却後は、リースバックを利用してそのまま住み続ける方法があります。

リースバックとは、マイホームの買い主と賃貸契約を結ぶことで、マイホームに住み続けることができる仕組みです。マイホームを売却した後でも、引っ越しをする必要がないため、今まで通りの生活を維持できます。また、買戻し特約が付いていれば、将来的に買い戻すことも可能です。

ただし、リースバックは、マイホームの売却価格が住宅ローンの残債よりも高くなる状態でなければ利用できません。売却価格よりも住宅ローンの残債が多い場合は、現金や預貯金などで差額を補填する必要があります。

そのため、リースバックを実施している業者に売却価格の見積もりを依頼して確認をしておきましょう。

4.弁護士に依頼するメリット

「住宅ローンを滞納しているので債権者に相談しにくい」「督促状が届いているが住宅ローンの滞納分が返済できない」といった悩みがある人は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで最善の方法をアドバイスできるため、問題を早期に解決することができます。

住宅ローンの返済が困難になると、精神的に追い詰められ、正常な判断ができなくなる場合があります。また、一人で抱え込んでしまうと時間ばかりが過ぎてしまい、状況がさらに悪化することも考えられるため、はやめに相談しましょう。

新小岩法律事務所では、予約により平日20:00開始の無料相談も行っております。当事務所は新小岩駅南口徒歩1分の場所にありますので、小岩、新小岩、平井、亀戸、錦糸町など、総武線沿線の地域にお住まいの方は、仕事帰りにぜひご活用ください。当事務所では、上記の地域だけでなく市川、船橋や松戸の方からもご相談をいただいております。

また、土日の相談にも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。